何度も繰り広げられるこのシーンは7つの習慣の第5に当てはまります。
第五の習慣・まず理解に徹し、そして理解される(Habit 5 Seek First to Understand, Then to Be Understood)
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/7つの習慣
反発する生徒が多いリッチモンド高校では、理解に関する実践が一番難しいのかもしれません。なぜなら高校生は理解されるのを拒絶するから。
だからこそ、カーターコーチは何度も何度もクルーズに質問したのでしょう。そのおかげで、高校生はカーターの考えを理解します。
完璧なマネジメント×教育力=理想の生徒の実現
バスケのコーチの映画というイメージの強い本作ですが、実話でもケン・カーターは「教育者」としてあり続けます。
教育者の仕事は何か。生徒を教育することです。教育することで生徒を成長させるのが教育者の仕事です。
カーターは自身が教育者であることもブレずに通し続けました。その影響を教育学の側面から見てみます。
粘り勝ちのカーターが発揮したピグマリオン効果(教師期待効果)とは
ピグマリオン効果とは、教師が期待をすることによって学業などの成績が向上することです。
カーターコーチは教育者でありつづけようとして、高校生たちに一定の成績を求め続けます。
つまり求め続ける=期待し続けるために、その効果が出てきたのです。このピグマリオン効果には一定の粘りが教師側に求められます。
見事にカーターを粘り切り、チームメイト全員大学進学を果たすことができました。まさにピグマリオン効果が出た結果です。
より高い場所を目指して…自己指導能力の徹底
自分の能力を測り、課題を見つけて、改善することで能力を高めることを自己指導能力といいます。
高校生たちは、自分の力で輝くことに苦手を感じていました。だからこそカーターは自分で恐れているものを認め、改善させようとしたのです。
本作に出演する高校生は、何も認めず、改善しない生徒から、自らを認め、改善を図る生徒となりました。
自己指導能力がつけば、もはや指導者はいりません。勝手に成長するからです。教育者が目指すべきゴールはここになります。
カーターが目指した生徒像は、まさに自己指導能力がついた生徒であり、それをカーターは実現してみせたのです。
カーターがマネジメントを覚えたのはどこ?
ここまで完璧なマネジメントを発揮してきたカーターコーチですが、一体どこでそのマネジメントを学んできたのでしょうか。
『コーチ・カーター』は実話をもとにした映画でした。そのモデルのケン・カーターの経歴を辿れば、どこでマネジメントを学んだか分かります。
経歴1:スポーツ店経営者
コーチカーターはスポーツ店の経営者で、スポーツ店は大成功を収めています。経営者として大事なことは全体をマネジメントすること。
おそらく経営者として大成功する上で、作業の効率化、社員の管理、やる気の引き上げ等を実践として経験したはずです。
その経験をリッチモンド高校バスケ部でも生かします。対象や目的が違っても、成功へ導く方法論は変わりません。
経歴2:出身大学
ケン・カーターが卒業した大学は、サンフランシスコ州立大学、コントラ・コスタ・カレッジ、ジョージ・フォックス大学の三つです。
どの学部、専攻に所属していたかは明らかにされていません。
しかし、これらの大学を見てみると、カーターの経歴に関係ありそうなのがサンフランシスコ州立大学では健康人間科学や商学。
コントラ・コスタ・カレッジで経済や心理、社会学。ジョージ・フォックスカレッジでビジネスやマネジメント、教育。
これらの学部学科で、マネジメントについて学んでいるのではなかろうかと思われます。
カーターコーチの姿勢や考え方は普遍の教育論
トーマス・カーター監督によって映画化された『コーチ・カーター』は、青春映画であり、教育者側の視点が詰まった作品です。
ケン・カーターを一言で表すならば、結果を出すためのマネジメント能力に優れ、生徒を惹きつける力のある指導者。このように表すことができます。