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90年代ホラーの金字塔『ジェイコブス・ラダー』は『サイレント・ヒル』の元ネタにもなるほどの作品です。
ジェイコブが見る悪夢や現実など、場面が目まぐるしく変わるためかなり深い考察が必要な本作品。
本作ラストの「ラダー」の意味とタイトルの「ジェイコブス・ラダー」にはどのような関係があるのでしょうか。
どうやら旧約聖書にある「ヤコブの梯子」と大きく関係しているそうです。
また、作中でポールが拾おうとする小銭が吸い寄せられ、車が爆発するシーンも疑問が残るシーンでした。
映画タイトルとラストシーン、小銭の意味、この2点について考察していきます。
ジェイコブは英語読み、ヤコブはヘブライ語
映画タイトル『ジェイコブス・ラダー』をアルファベット表記すると、Jacob’s Laddarとなります。
もともとJacobはヘブライ語で、アルファベット表記も同じため英語読みをすると、「ジェイコブ」になるのです。
一方ヘブライ語では「ヤコブ」と読みます。
Laddarとは階段や梯子を意味するので、実は英語圏の人でもタイトルを見たとき「ヤコブの梯子」とすぐに理解できます。
このヤコブの梯子は旧約聖書に書いてある内容で、日本人にはなじみがありません。
ではヤコブの梯子とは何なのでしょうか。
ヤコブの梯子は天使が上り下りする梯子
旧約聖書の創世記28章10-12節にヤコブの梯子に関する記述があります。
ヤコブとは旧約聖書に登場するヘブライ人の族長で、夢で天使が上り下りしている梯子を見た人物です。
『ジェイコブス・ラダー』も「夢」やラストシーンでの「梯子」、「天使」など映画内容はヤコブの梯子と同じ設定でした。
映画内で悪夢を見て不安になったり、安堵したりする様子は梯子を上ったり下ったりするジェイコブ自身の姿を表現しています。
ここが映画タイトルとラストシーンが重なる大筋の流れです。
では、具体的に八子具の梯子が映画内ではどのように表現されているのでしょうか。
ヤコブの梯子との関連が予想される「階段=ラダー」「薬=ラダー」
ヤコブの梯子と『ジェイコブス・ラダー』という作品が関連しているのは、映像と内容でも表現されています。
それがよく分かるのは映画ラストシーンと映画そのものの結末です。
ゲイブと一緒に上る階段
映画ラストで死んだはずのゲイブがそこにいます。
大丈夫だよ、上に行こう
引用:ジェイコブス・ラダー/配給:トライスター・ピクチャーズ,東宝東和
ゲイブにそう言われてジェイコブは階段を上ることを決意します。
ヤコブの梯子(階段)が映像として現れたこのシーン。映像はこの後暖かい光に満ちていきます。
これは、ジェイコブが生きることを諦め、死を受け入れたシーンだと考えられます。
ヤコブの梯子の話では、天使たちが上り下りするこの階段。登った先にあるものが、苦しみから解放された世界なのです。
結局次のシーンは野戦病院でジェイコブが死んでいるシーンでした。つまり階段を上る=死を受け入れるということなのです。
死を受け入れるためにラダー(薬)で納得した
旧約聖書内のヤコブは自分が夢で梯子を見たその場所を、天への門として聖地と定めます。
天の門をくぐるためには、死を受け入れなければなりません。
ゲイブと階段を上る前のシーンで、ジェイコブは「ラダー(幻覚を見せる薬の意味)」を知らされます。
それからジェイコブは納得して(死を受け入れて)階段を上りました。つまり、死因を特定してジェイコブ自身が納得をしたのです。