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「悪人」や「パレード」などの原作者として有名な吉田修一の作品のひとつ、「横道世之介」。

青春小説の金字塔ともいわれるこの作品。

映画を観て真っすぐな世之介の人柄や、世之介と祥子の焦れったい距離感にグッと心惹かれた方も多いのではないでしょうか。

なぜ世之介と祥子が別れてしまったのかなぜ世之介は写真を祥子に渡せなかったのかなど、細かい描写がないので気になった方も多いはずです。

今回は、それらの理由を徹底考察していきます。

祥子のパリ留学の後に何があったのか

 

横道世之介 (文春文庫)

パリ留学を終えて帰国した祥子と世之介の間にあった出来事は描写されることなく、祥子の未来のシーンに切り替わってしまいます。

世之介の実家に数十年経っても電話をかけることができるということは、二人は決して気まずい別れをしていなかったということが分かります。

付き合っていた当初は、二人はまだ18歳の若いカップル。

互いに進むべき道を見つけ、それに向かって進んでいく過程で二人の間に何かの関係を決めるにはあまりにも早かったのです。

あえて別れた出来事を細かく描写するほどの、決定的な別れの原因はなかったのだと思います。

世之介はいつから祥子に惚れていた?

世之介は千春に惹かれているにも関わらず、祥子の勢いに負けてしまいます。

祥子とのスキンシップをしようする世之介ですがその時点で本当に世之介が祥子に惚れていたのかは謎ですね。

一瞬で燃え上がって終わる恋

夏

若いと一瞬で燃え上がって冷めるような恋愛も多いと思います。これは世之介と祥子にも当てはまります。

特に祥子は出会ってから2回目に家に押しかけていて、その表情はもうすでに恋に落ちている女の子の顔です。

しかし、物語終盤の祥子は世之介だけを見つめていた時のお嬢様の顔つきとは違って、目標を決めた1人の女性としての顔つきに変わっています。

これはパリへの留学を決めたことから、世之介との恋より自分にとってやりたいことが見つかったからでしょう。

それは世之介も同じで、カメラで写真を撮ることに興味を持った世之介も顔つきも明らかに変わっているのがわかるのです。

その変化は映画でも小暮が指摘していますね。

あんなにも熱心に互いに興味を示していた2人ですが、いつの間にかその気持ちが冷めてしまうのです。

若さゆえの終わり方

一気に燃え上がった恋も互いにやりたいことを見つけてしまえば、つい二の次になってしまいやすいもの。

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