さらに水縞くんは目の前のやりとりを心配そうに見ていたのに対し、りえさんは目線が少し泳いでるように見えます。

ここから分かるのは、おそらく心はそこになく、頭の中では香織さんに過去の自分を重ねてしまっていたということではないでしょうか。

北海道で生きてきた人間と、東京で生きてきた人間。それぞれの置かれた環境によって、溝が生まれてしまっているかのようです。

夫婦という空気感がないふたり

作中では常に寄り添っているけれど…。

手をつなぐ恋人

ふたりはほぼ常に肩を寄せ合うくらいまで近い距離に寄り添っているため、その信頼感や仲の良さは確かでしょう。

なんとなくお互いに気を遣っているというか、ざっくりいうとただ仲睦まじい夫婦、という空気感がありませんでした。

極端にいえば、一緒に仕事をしているだけの仲のよい幼馴染みのような関係にさえ見えてしまいます。

本当はまだ通い合えていない心

リング
自分を救ってくれた「感謝」の気持ちこそ込められているものの、そこに「伴侶としての愛情」はまだ芽生えていなかったのかもしれません。

過剰にもとれるりえさんの「水縞くん」という他人行儀な呼び方からは、そう推測することができそうです。

これが前述でふたりが籍を入れていないと考察した理由でもあります。

そういった背景を踏まえると、水縞くんの「ほしいもの」がりえさんからの愛情であると考えられますね。

水縞夫婦が老人に与えた影響とは?

きっかけは奥様がパンを口にしたこと

パン

奥様が老齢にして嫌いなパンを手に取って美味しいと頬張る、彼女が「変わった」瞬間。

そのときおそらく、これからもおいしいものを食べて、これからも夫と寄り添って生きていきたいと心から願ったのでしょう。

彼女がもはや自分一人では歩けないほどの重病を患いながらも、です。

生への渇望。そして残された人生もパートナーとともに歩みたいという愛情そのものが描かれているといえるのではないでしょうか。

老夫婦は何を得てマーニを後にしたのか

老夫婦

マーニで過ごした時間の中で老夫婦が得たものとは一体なんだったのでしょうか。

それは、きっとパンをわけあうように人から生きる希望をわけてもらい、ともに生きていこうとする強い意思だったものと思われます。

それは、余命いくばくもない奥様と、別離の現実から逃げずに最期まで添い遂げようとする男性の覚悟でもあったと考察できます。

さまざまなパートナーシップの形

マーニにおいてはもっぱらもてなす側であったりえさんも、お客さんとのふれあいの中で「生きたい」という気持ちを取り戻しました。

水縞くんに対して少しずつ心を開いていけるようになったのではないでしょうか。

それまで水縞くんへ抱いていた「感謝」の思いが、老夫婦が得たものと同じく一生添い遂げたいという、「愛情」という思いへと変わっていくのです。

それを裏付けるかのように、ラストシーンでは「家族が増える」、すなわち愛情の結実が描かれています。

もちろん好意は抱いているし、感謝の気持ちは言葉にならないほど大きいはずです。けれど、心の底から愛し抜くことはまだできません。

それがこれまでのりえさんの心情で「水縞くん」という他人行儀な呼び方にも表れていたのでしょう。

ただ、人と人とを結ぶ絆の形はその当事者によって異なります。

その関係性はパートナーシップではないなどと、他人が口を出す余地はありません。

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