代替できるものもありますが、実はエアロックが爆破した結果、もう二度と手に入らないものが現れます。
それが手に入らないからこそ、ハブを復活させてもじゃがいもづくりは再開しなかったのです。
エアロック爆発で代用が利かないもの
植物学者であり、宇宙飛行士でもあるワトニーは、あらゆる知識を使いながら宇宙での生活を乗り切ります。
正規の物がなければ代用品を使う様子に、改めて頭の良さを感じるものです。
しかし、そんなワトニーでも絶望を感じるほど、エアロックの爆発により「100%火星では代用の利かないもの」が2つ出ました。
1つ目「糞尿」
ワトニーは糞尿を水で戻し、火星の土と混ぜることによってじゃがいもづくりを行いました。
火星には生命体がいないため、糞尿に含まれているバクテリアは、無菌乾燥の火星の土を栄養のある土に変えてくれます。
その糞尿はこれまでの生活の中で、6人のクルーたちから排出されたものでした。
しかしエアロックが爆発し、平均気温がマイナス40度を下回る火星の空気に畑の土が触れたことで、バクテリアは死滅します。
ワトニー一人の糞尿では足りないし、そもそも食料もギリギリだったため、十分な糞尿が蓄積されているとは考えにくいです。
植物学者だからこそ、バクテリアの代用がないことを悟り、ワトニーは絶望するのです。
2つ目は「ロザリオ」
じゃがいも栽培を思いついたシーンで、マルティネスの木造ロザリオを見ながら、ワトニーはこのように語ります。
NASAが送り込んだものは全て難燃性。ただ1つだけ例外なのは、このマルティネスの十字架
引用:オデッセイ/配球:20世紀フォックス
MDAの燃料に火をつけるために、元火が必要です。しかし、NASAが送り込むものは燃えにくいため、元火を灯す素材がありません。
そこで見つけた唯一の燃えやすい物が、マルティネスの木製ロザリオだったわけです。
これも一度使ってしまっては、二度と手に入らない上「ただ1つ」の物なので、代用が利きません。
エアロック爆発以降、二度目のじゃがいもづくりをしようとしても、MDAの燃料に火は灯せないとワトニーは判断します。
NASA本部もじゃがいもづくりは諦める
先述した理由から、NASA本部でもじゃがいもづくりを再開することを諦めたシーンがありました。
ワトニーから送られた情報をカプーアが聞いたとき、以下のような理由からじゃがいも生産を諦めます。
ハブの気圧が下がってしまった・水がすべて蒸発した・バクテリアが死滅した
引用:オデッセイ/配給:20世紀フォックス
やはりバクテリアの死滅は大きな理由のようです。
サンダースやヘンダーソンといった、アレス計画に関わった人物も皆、この理由に反論はしませんでした。
むしろ、残りのじゃがいもが何ソル(火星の日数)持つのか、補給物資のが何ソルかかるのか、といった計算をしていました。
つまりNASAから見てもジャガイモの生産再開は不可能と判断したのです。
映画『オデッセイ』の再現は近い
『オデッセイ』で取り上げられた火星探査計画は、現実世界ですでにNASAが進めている計画のようです。
有人探査機を火星に打ち上げる計画も進めているようで、映画内で出たパスファインダーは1997年に実際に使われたもの。
映画内でパスファインダーは40年前の物として説明されていたので、『オデッセイ』の世界は2040年ごろだと考えられます。