手塚賞の打ち上げで親睦を深め、共に連載を誓った仲。
ジャンプ漫画のテーマともいえる「友情・努力・勝利」が見事に演出され、「金知恵」が製作されていました。
また、ライバルである新妻エイジも作業には参加しなかったもののサイコーを奮い立たせるいいきっかけを作っていました。
完成した漫画に編集長が負けを認めるのも納得の内容だったと思います。
服部さんの「意見が割れた時は漫画家の味方に付く」という言葉も響く良い演出だったと思います。
ラストが卒業式だった真意
ラストは連載も打ち切りになり、高校も卒業の時を迎えます。
大学にも進学せず、無職となった2人ですが、その表情は明るいものでした。
次はラストが卒業式だった真意について考察していきます。
打ち切りからの再スタート
入院してまでも連載を続けた「この世は金と知恵」ですが、アンケート争いに負けてしまい、打ち切りになってしまいます。
その直後は放心していたサイコーとシュージンですが、気持ちを新たにまた連載を勝ち取るところからスタートしようとします。
実際に漫画家はこの連載から打ち切り、新たな漫画の執筆を何度も繰り返していました。
連載を勝ち取るまでの苦労や連載を続けることの難しさ、逆に連載を勝ち取った時の喜びやアンケートで1位になった時の嬉しさが表現されていました。
サイコーとシュージンはプロの漫画家としてのこの一連の漫画家の苦悩や喜びを経験したことになります。
今までは漫画家初心者として経験したことの無いことが多かったですが、これからはこの苦悩や喜びが日常になります。
これは「初心者を卒業し、プロとして活動する」ということです。
その初心者卒業と高校卒業をかけた形がこのラストだったと考察できます。
サイコーとシュージンの始まりの物語
原作の内容は中学生から大学卒業の年の24歳までの10年間のボリュームがあります。
映画はその10年間の始まりというイメージが強い内容になっています。
映画の上映時間の関係上、原作の10年間を全て表現することは出来ませんでした。
ですが、始まりの物語として観れば、納得のいく内容だったと思います。
高校を卒業し、プロの漫画家として活動するサイコーとシュージンはきっと夢を叶えることでしょう。
そう思わせる良いラストシーンだったと思います。
人と人の繋がり
これまで映画「バクマン。」のいろいろな考察をしてきましたが、この映画の一番の良さは「人と人の繋がり」だと思います。
編集長と叔父である川口太郎の関係からサイコーの編集長への冷たい態度が、叔父の気持ちが段々と分かるようになり、徐々に変わったこと。
連載漫画家たちとの繋がりやライバルである新妻エイジとのアンケート争い。
担当編集の服部さんや小豆とサイコーの信頼関係など、「人と人の繋がり」がこの映画の魅力だと思います。
こういった人と人の繋がりをうまく表現した良い映画になっていたのではないでしょうか?
この映画を観た方にはそういった人と繋がりを意識してほしいと思います。