ジョーもまた興味本位で近づいたスーザンの聡明さと優しさに心を許し身をゆだねるのでした。死神にとっては初恋であり初体験ですね。
ビルの心配と不安そしてジョーの「良心」
いよいよジョーがビルを連れて逝く日(ビルの65歳の誕生日)です。
ジョー・ブラックに恋愛感情を抱く愛娘スーザンと、スーザンも一緒に連れて逝くと言い出すジョーにビルは気が気じゃありません。
ジョーはスーザンを愛しているから一緒に連れて逝くと言いましたが、ビルはジョーの言っている「愛」には本質的ものが欠けていると諭します。
愛の本質とは奪うものではなく、生涯を懸けて相手への信頼と責任を全うする事。そして愛する相手を傷つけぬ事だ。
それに無限と永遠を掛ければ愛の本質にに近づくが、おまえにはその表面すらも私の気持ちはわからんだろう。
引用:ジョーブラックをよろしく/配給:ユニバーサル・ピクチャーズ
ジョーは偉大な大天使であり宣言なしでもビルに黙って連れて逝くこともできたはずです。
なぜ、ジョーはビルにスーザンを連れて逝くとわざわざ宣言したのでしょう?
愛を生きた「死を司る天使」
きっかけはジョーの気まぐれと好奇心で始まった人間界での休暇だったのでしょう。その過程でスーザンを愛してしまったことは確かです。
しかしジョーは、スーザンの勤める病院で知り合った老女に本当の正体を知った上での愛なのか?と言われ、その一言で戸惑ったのでしょう。
ビルにスーザンも一緒に連れて逝くと宣言をしたのは、この老女の言葉が気にかかったからではないでしょうか?
ビルにも同じことを言われ、スーザンが好きになったのはコーヒーショップで出会った青年であってジョーではないととどめを刺されたのです。
上下関係の逆転
宇宙的にみたらジョーの立場は「絶対的」な存在であり、逆らえるものではありません。
ビルにとっては死期をのばすための契約で選択の余地も拒否権もないのです。家族や娘を守るための「ご機嫌窺い」の時間でした。
しかし、ジョーにとってはビルと一緒に過ごした人間界の時間は予想だにしない立場をも逆転する経験だったようです。
ジョー・ブラックとしての「生きた証と愛の証」
スーザンはパーティーのクライマックスでビルの「別れの言葉」ともとれる愛情をこめた言葉に不吉な予感を感じたようです。
ジョーは愛娘スーザンと最後のダンスを踊る様子を見て涙し、スーザンとの別れを惜しむのでした。
ジョーの待つ場所に向かうビルと二人の会話はまるで父と息子のようです。
ビル「別れは辛いだろう?」
ジョー「とてもつらい」
ビル「それでいい…それが生きた証だ」
引用:ジョーブラックをよろしく/配給:ユニバーサル・ピクチャーズ
ジョーとビルは丘の向こう側へ渡る橋を二人で歩いて行き消えて逝きます。
それを見ていたスーザンの元にはコーヒーショップで出会った青年に戻ったジョーが渡ってきました。
ジョーはスーザンから奪い取った青年の命を戻し、スーザンへの「愛」の証としたのではないでしょうか?
愛に満ちた映画
スーザンは少し戸惑いながらも、父の最期の言葉の意味とジョー・ブラックの本来の目的を悟ったラストシーンでした。
ビルの名言と共に考察をしてみまししたがいかがだったでしょうか?ビルは愛に情熱的になれないスーザンの幸せを案じアドバイスをしました。