出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B006QJSK0G/?tag=cinema-notes-22
映画「8Mile」は2002年に公開されたエミネムの半生を描いた自叙伝的作品です。
今や「世界史上最も売れたアーティスト」の一人であり、最も売れたラッパーという偉業まで残しているエミネム。
本作は彼が鳴かず飛ばずの無名だった所からプロのラッパーに成り上がるサクセスストーリーを描いています。
また、主題歌「Lose Yourself」は以下の賞を受賞しました。
2002年度アカデミー歌曲賞
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/
音楽家の自伝故下馬評ではただのアイドル映画と目された劣勢を彼の真摯な演技と緻密な脚本で跳ね返したのです。
本稿ではそんなエミネム本人が自叙伝を演じたことから生じた影響を徹底的に考察していきます。
そしてまた、歌曲賞まで受賞し世界中で飛ぶように売れた「Lose Yourself」を歌った真意も見ていきましょう。
8Mileの意味
本作を考察していく上ではまずタイトルの意味・役割は「境界線」です。
何の境界線かというと黒人と白人、富裕層と貧困層という経済格差と人種差別の境界線でした。
1995年当時、米国の売りだった自動車産業は斜陽化し、二極化してしまいました。
エミネム演じるジミーはそうした時代の煽りに悪影響を受けてしまった一人なのです。
ジミーに立ちはだかる壁
ジミーが一流のラッパーに成り上がっていく上で大きな壁がいくつもありました。
それらは一体どのような影響を彼にもたらしたのでしょうか?
逆差別
そして何よりジミーが本作で戦うことになる最大の壁は白人故に迫害されるという逆差別です。
当時まだ音楽業界で黎明期にあったヒップホップ・ラップは黒人が生み出した特権でありました。
だから白人のジミーは何度も黒人のラッパー達から謂れ無き批判を受け苦しむことになるのです。
しまいには途中で恋に落ちたアレックスは別の男と肉体関係を持つという裏切り・絶望を経験します。
本作がただのサクセスストーリーに終始していない理由はこの人種差別の壁にしっかり立ち向かったからです。
最悪の家庭環境
そのような逆差別や裏切りを受けたジミーが一番悲惨だったのは何よりもその家庭環境です。
恋人と別れ、更にアパートまで強制退去になった彼は実家に戻っても母の恋人グレッグという壁が待っていました。
つまり彼を取り巻く環境は四面楚歌、職場でも家庭でも心の安まる場所・時間などどこにもありません。
しかしだからといってその劣勢を跳ね返していくだけの強さをジミーはまだ手にしていなかったのです。
負の潜在意識
こうして見ていくと、最終的にジミーが上手く行かない原因は環境によって負に陥った潜在意識です。
人はよく潜在意識が95%、顕在意識が5%で行動や価値観の殆どが潜在意識によって決められるといわれます。