しかしその考えは、先程も説明した通り、観ている側の解釈です。
本当にジュリエットになりたかったのなら、ロミオ(エイコ)への愛を貫くために、高校時代のあの時に自殺すべきだったのではないでしょうか。
死んでロミオの元へ
最期の時を迎える美津子は、実は村田が詐欺師であることなどを暴露しました。彼女は村田を「家からの解放」の手段に利用したのです。
それを告白したことには、ある意図が隠されていたのではないでしょうか。
彼女は周りの人達にも、自分がジュリエットなのだと訴えかけたかったのかもしれません。
自他共に認めるジュリエットになり、安心してロミオのもとへ行きたいと願ったのだと考えられます。
ジュリエットになれなかった美津子の最後のあがきだったのでしょう。
美津子が村田と関係を持った理由
美津子は実際には処女ではなく、色々な男と関係を持っていたようです。
エイコしか受け付けない男嫌いの美津子はなぜそのような嘘をつき、また村田とも関係を持ったのでしょうか。
親からの厳しい教育
美津子の両親は教育熱心で、特に美津子に対して過保護で厳しかったといいます。
これは長男長女が親から受ける躾の典型パターンなのではないでしょうか。
自由に育てられた妹に嫉妬していたことから分かるように、彼女は常に良い子を演じていなければならなかったのでしょう。
処女で男嫌いというキャラクターは親へのアピールであり、本人の意思に背いた行為だったはずです。
その反動が、田村を含む色々な男と関係を持つ火種となったと考えられます。
エイコを払拭してくれる男
美津子の初恋はエイコだったのでしょう。ただでさえ初恋の思い出は色濃く心の中に残ります。
その上エイコの突然の死は、美津子の時を止めてしまいました。
「恋の痛みは恋で埋めるしかない」という言葉を耳にしたことがありますが、まさに美津子も同様なことを考えていたはず。
美津子の悲しみは深く、その苦しみを取り除くためにはエイコ以上の存在を見つける必要があったのだと推測されます。
そのため、手当たり次第に男を誘い、エイコと比べていたのでしょう。
そして最後に出会ったのが村田だったのです。
彼女は多くの男を見てきたからこそ、甘い言葉を囁く村田が詐欺師であることを見抜いていたのだと思われます。
なぜ村田は簡単に洗脳できた?
この映画は実際に起こった洗脳殺人事件から着想して作られました。
もとになった犯人も多くの被害者を次々に洗脳していったようですが、村田も同じように言葉巧みに誘導していきました。
優れた話術
村田が簡単に洗脳できた理由は、なんといってもそのたくみな話術です。彼は自分の手を汚さずに、被害者同士に殺させていきました。