「ハンバーグ」の語源がハンブルグの労働者が好んで食べた“タルタルステーキ”からきているとご存知ですか?
英語圏ではハンブルグの発音がハンバーグに近く、ソウル・キッチンの主なメニューはハンバーグのように“労働者”ウケするものばかりです。
ソウルキッチンは造船所か船舶用のドッグを改装したレストランで、近くで働く労働者をターゲットにしたメニューで商売しているのです。
音楽は魂の栄養
ジノスは税金を滞納したせいでオーディオセットが税務署に押収された時にこう叫びました。
「音楽がないと魂が飢える!!!」
引用:ソウル・キッチン/配給会社:ビターズ・エンド
ジノスはレストランのスタッフにバンドマンも雇いバンドの練習も自由にさせているほど、音楽もレストランには大切な要素と思っています。
バンドのライブを聴きにくる若者そして、仕事帰りの労働者が集い心を癒しの交流をさせるレストランがジノスの理想だったのです。
ソウル・キッチンの危機と好転
ファティ・アキン監督は古郷ハンブルクの変わりゆく街に懸念を持っていたので、他にもハイマートフィルムを制作しています。
ハンブルクの街は歴史的に大火や疫病、戦争、民衆蜂起などの危機が何度も起こりその度に好転させて繁栄を築いてきた都市です。
ソウル・キッチンもまた、そういったいくつもの危機を乗り越えて店を発展させていきました。
ぎっくり腰で店の存続の危機
ジノスはぎっくり腰になったことで一人でいることに不安を感じて、上海にいるナディーンの元に行くと決めたのでしょう。
上海行きを決めたにも関わらず、幼なじみのノイマンに店を売るように促されても売ることを拒んだのは何故なのでしょうか?
それは、自分の力で築いた店は店そのものがジノスの魂で「店を売る=魂を売る」だからです。
庶民の味とシェフのこだわり
ジノスはお客の喜ぶ料理こそ「ソウル・キッチン」の魂の料理と思い、シェインは冷凍食品を見た目を豪華にアレンジしたシーンでこう言います。
みんな(料理人は)魂を売っているんだ…
偽グルメさ錯覚だよ。まやかしさただの飽食だ。40種類のメニューがあっても全部同じ味だ。
(自分なら)日替わりで4種類の「魂の食事を作る」
引用:ソウル・キッチン/配給会社:ビターズ・エンド
シェインもまた料理人としての魂を主張するのでした。しかし、シェインの作る高級料理は店に訪れる労働者には全く受け入れられません。
店には閑古鳥が鳴きますが「音楽」と「料理」で人々を満足させるジノスのソウル・キッチンの進化がここから始まります。
光のスペクトル
「色彩は光の受苦だ」ゲーテの言葉よ…
引用:ソウル・キッチン/配給会社:ビターズ・エンド
ルチアが言ったこの言葉はゲーテの色彩論ですが、ジノスは自分の主観から人との出会いで店を発展させる上昇意欲にしてきました。
人との関わりには悩みや苦しみを伴うこともあるが、共同作業をすることで現状以上の結果が得られるという意味です。