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前作「カジノ・ロワイヤル」で見事新生を果たした007シリーズ。
本作「慰めの報酬」は前作の続編として作られ、更に前作よりシリアスでハードな作風です。
かつて愛した女を忘れられないボンドと一家を皆殺しにされた悲しき女性の運命が交差します。
そんな二人の「復讐」をテーマにした本作は、やや難解な立ち位置にあるといえるでしょう。
今回は新生ボンドがヴェスパーの恋人の家に行った意味を考察していきましょう。
また、放置されたグリーンを殺した犯人やペンダントを最後に捨てた理由も見ていきます。
ヴェスパーの恋人の家に行った意味
映画「007慰めの報酬」で最大の謎はラストでボンドがヴェスパーの恋人の家に行った意味です。
ネタバレも含みながら、まずはこのラストについて前作も踏まえつつ考察していきましょう。
復讐か任務かの選択
まず大きな意味としてはMからボンドへ下されたテストであるということです。
それはボンドが男を連れて家から出てきた時にMが待ち構えていたことから判ります。
一見忘れられないヴェスパーへの感情ありきで行動しているようですがそうではありません。
ボンドが復讐に流されずきちんとプロのスパイとして適切な行動が出来るかを見極めたのです。
ヴェスパーの二の舞を防ぐ為
もう一つの目的はカナダの女性諜報員がヴェスパーの二の舞を防ぐことでした。
ヴェスパーの元恋人は彼女を情報源として利用し捨てた上で死んだという嘘情報を流していたのです。
つまり立派な詐欺罪であり、謎の組織と絡んでいるから早急に摘発しておかないといけません。
ボンド個人の感情とは別にまず組織ぐるみの陰謀の一因を少しでも除去しておきたいのは当然の流れでしょう。
ヴェスパーへのわだかまり
ボンド個人の目的としては心に引っかかっていたヴェスパーへのわだかまりを解消するためです。
ヴェスパーは前作のラスト、ボンドを愛していながらも恋人を助ける為に自殺を選びました。
ミスター・ホワイトに恋人を人質に取られ、更に自分を拷問したル・シッフルまで殺されています。
その辺りをきっちり清算するためにこそ彼はヴェスパーの恋人の家へ行ったのではないでしょうか。
カミーユに触発された
そして清算のための大きな原動力・動機となったのは間違いなくカミーユとの邂逅でしょう。
彼女は身内を皆殺しにしたメドラーノ将軍への復讐だけを行動の動機として動いていました。
任務と復讐の間で葛藤していたボンドにとってその影響は良くも悪くも大きかったはずです。
彼女とは恋愛関係にこそなりませんが、復讐を動機に動く点に共感したパートナー同士でした。
迷いなく動くカミーユを見てボンドもその迷いが吹っ切れたのではないでしょうか。
グリーン殺しの犯人
ラストシーンではボンドがボリビアの砂漠の真ん中に置き去りにしてきたグリーンも死体で見つかりました。