出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B006QJSAOM/?tag=cinema-notes-22
サスペンス映画の金字塔にしてアルフレッド・ヒッチコック監督の代名詞でもある「サイコ」。
二重・三重のミスリードを用いながら見る側を最後まで恐怖で支配し裏切る構造が絶妙です。
ポルターガイスト現象のようなありがちなホラー要素はないのに隙のない完成度を誇ります。
その完成度の高さから、本作は以下の賞を受賞・ノミネートしています。
受賞
第18回ゴールデングローブ賞助演女女優賞
エドガー賞映画脚本部門1961年最優秀賞ノミネート
第33回アカデミー賞監督賞・助演女優賞・撮影賞・美術賞
全米監督協会賞引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/サイコ_(1960年の映画)
本稿ではノーマンが自身の人格を失った理由をじっくり掘り下げていきましょう!
また数々の死体を埋めた息子の苦悩と母の遺体を保存した真意にも迫っていきます。
ノーマン・ベイツが人格を失った理由
最後のシーンではノーマン・ベイツが自身の人格を失った理由が詳細に明かされます。
アンソニー・パーキンスの怪演もあり、受け手は恐怖のどん底へ叩き落とされました。
彼は果たしてどのような人格だったのでしょうか?
解離性同一性障害
まず医者の分析のネタバレを最初に述べると、ノーマンは解離性同一性障害です。
自分が自分であるという自己同一性がなく別人格が存在し、多重人格とも呼ばれています。
ノーマンの場合その解離性となる人格は母の人格であり、ノーマンという元の人格はありません。
この設定自体は昨今だと珍しくありませんが、当時としてはかなり画期的なものでした。
それを視聴者を裏切るためのギミックとして非常に上手に活用した最初の例でありましょう。
エディプス・コンプレックス
ではノーマンがどうして母の人格が乗り移る多重人格となってしまったのでしょうか?
医師の説明では幼い頃からずっと母が夫を亡くした寂しさを息子で埋めようとしていたとあります。
ノーマンはエディプス・コンプレックス、即ち母に親子以上の感情を抱いていたのではないでしょうか。
どんなに過保護な親であったとしても、普通は思春期辺りを境に子供の方から親離れを決意するものです。
しかし、ノーマンの場合寧ろ母に依存気味になったことからこの類の病気にかかっていたのでしょう。
でなければ母に恋人が出来たという理由で殺害へと走ったりしないものです。
女装による自己暗示
大きく影響しているのは母の死体を保存し、母になるべく女装を続けていたことでしょう。
この衣装の力、また母の死体の影響力は本人が思っている以上に大きな影響力を与えます。
衣服の力とは着る人のイメージを内外共に作り上げる強力な鎧となるものです。
骸となった母の死体をずっと傍に居て自己暗示をかければノーマンでなくともそうなるでしょう。
自己暗示の力とは本来それ位恐ろしいものであり、長年一人でそれを続ければ尚更です。
ノーマンの闇人格と母の人格の一体化
ノーマン・ベイツが作り上げた人格はあくまで「ノーマンの思う母」であって実像ではありません。
嫉妬深い性格で母のことを探ろうとする人や女性を殺そうとするのはノーマンの闇人格が基本です。