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田辺聖子の短編小説を原案とし、犬童一心が監督を務めた映画 「ジョゼと虎と魚たち」は世界でも高い評価を受けています。
主人公は妻夫木聡演じる大学生の恒夫。彼が近所で噂の乳母車と出会ってから全てが始まりました。
中に隠れていたのは池脇千鶴演じる脚の不自由な少女ジョゼ。強さと同時に弱さを持つ彼女の魅力に、恒夫は心惹かれました。
恒夫に想いを寄せる上野樹里演じる香苗がジョゼへの嫉妬心を燃やして対立するが、最後に恒夫が選んだのは香苗。彼とジョゼの愛の行方は?
ここでは、二人が別れを選んだ理由・なぜ恒夫は涙を流したのか・冒頭のセリフが示すその後に迫ります。
二人が別れを選んだ理由
永遠と思えた二人の時間は呆気なく幕を閉じました。確かにそこには愛があり、素晴らしい時間を共有していたはずです。
彼らはなぜ別れを選んだのでしょうか。
恒夫が別れを選んだ理由
恒夫はどこにでもいる大学生で、平凡な恋愛しか経験してこなかったように見えます。
彼の恋愛は好きだから付き合うという単純なもの。しかしジョゼとの恋愛にはプラスアルファで、障害をも乗り越えて行かなければいけません。
ジョゼが障害を言い訳にして自立しようとしない姿に、恒夫は将来を見れなくなったのでしょう。
自分はジョゼの一生を背負えるだろうか。両親・親戚に紹介するという具体的な現実を目の前にして、自問自答したはずです。
そして出た答えが「別れ」だったのだと思われます。
ジョゼが別れを選んだ理由
ジョゼは恒夫の「好き」と自分の「好き」が別物だったと理解したのだと思われます。
そして恒夫の望む恋愛をさせてあげられないことが、彼女が別れを選んだ理由なのでしょう。
恒夫と弟の電話の内容を聞いてしまった時から彼女の中で別れが決断されていたように見えます。
お互いに愛さなくなる日が来る事を、ジョゼは知っていたはずです。
それは彼女の好きな本「1年ののち」の登場人物ジョゼのように。
なぜ恒夫は涙を流した?
ジョゼと分かれて家から出て来た恒夫は、すぐに香苗と合流します。ですがなぜか突然泣き出す恒夫。
その涙にはどんな意味が込められていたのでしょうか。
後悔の涙
恒夫は自分勝手な恋愛をしたのだと気づいたはずです。そしてジョゼを振り回して申し訳なかったと思ったに違いありません。
恒夫は彼女を傷つけてしまったのです。
ジョゼは電動車椅子に乗るという挑戦をし、料理を作っています。
これは自立をしたことを意味しているので、恒夫にはもう頼らないという意思表示です。