討ち入りを果たそうにも結局予算の都合で討ち入りをしようにも出来ない状況にあります。
果たしてそんな結末の赤穂浪士たちは何を思ったのでしょうか?
矢頭長助の心情
まず一番心情がストレートに描かれたのは内蔵助の補佐役である矢頭長助でしょう。
彼は内蔵助に対しはっきりと金銭感覚のなさを諫めています。
銭勘定できひん侍は何をさしても木偶の坊
引用:決算!忠臣蔵/配給会社:松竹
ここで面白いのはお笑いの天才・岡村隆史をこうした冷静沈着な参謀役に描いていることです。
普段のコミカルな彼との対比が凄く際立つツッコミですが、これが結末まで尾を引きます。
死に際でもお金は大事に使うようにと述べていたことから内蔵助に呆れていたのでしょう。
それでも彼に付き添い続けたのは長助が内蔵助の隙の多さに魅力を感じていたからです。
何だかんだ完璧ではないから内蔵助だからこそ彼の冷静沈着さが光っています。
討ち入りさえ出来れば満足
長助が指摘した通り、討ち入りの準備すらまともに出来ない状況が続きました。
新しい武装を用意するのも、そして日々の生活費も全てにおいて金が必要なのです。
矢頭の居なくなった赤穂浪士たちは余計に振り回されていくことになります。
それでも文句をいわなかっただけ偉いですが内心は呆れていたのではないでしょうか。
まともな準備すら出来ずほぼ最低限の見切り発車で前倒しせざるを得ないのです。
結果として討ち入りこそ果たしたものの、残される側のことは何も考えていませんでした。
それでもついていったのは結局討ち入りさえ出来れば何でも良かったのでしょう。
何をするにも軍資金が必須
本作は最後で漸く討ち入りを果たすのでそこまでの物語としての動きがない構造です。
故にもたつきがありますが、そこで軍資金の大切さを入れたのは革新的ではないでしょうか。
というのも、今の時代は誰しもが簡単にネット副業をはじめ独立起業が増えています。
また、それに伴い投資やビジネスオーナーといった不労所得にも注目が集まっているのです。
しかしどんなビジネスを始めるにも十分な軍資金と生活費は必要です。
そしてそれを作るためにはまず足下の金銭感覚からしっかり管理していくことが大切です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
本作は現代的なビジネスモデルの導入で時代劇を再構築するという斬新な試みが見られました。
かつ喜劇に仕立てることで時代劇そのものを若者向けに取っつきやすくする効果もあります。
それは今からの時代において過去の文化をどう現代のものへ洗練するか?が大事ということです。
昔のようにテレビ文化としての時代劇もなくなった昨今で本作が果たした役割は大きいでしょう。
そのような時代の節目・変わり目をまざまざと突きつける愉快な娯楽作でした。