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ニール・ジョーダンが監督を務め、2018年に公開された映画「グレタ(GRETA)」。
クロエ・グレース演じるフランシスは、レストランのウェイトレスをしつつも、母親を亡くした悲しみと闘っていました。
ある日地下鉄でバッグが置き忘れられているのを発見し、持ち主のもとへ届けに行きます。
持ち主はイザベル・ユペール演じる未亡人グレタで、彼女もまた娘と離れて暮らす寂しさを抱えていました。
孤独という共通点が二人の距離を縮めるのですが、フランシスはグレタの戸棚にずらりと並んだ怪しいバッグを発見することに。
グレタの狂気を感じたフランシスは彼女を突き放しますが、そこからグレタが恐怖のストーカーへと変貌します。
隙を突かれて監禁されたフランシス。
マイカ・モンロー演じる親友エリカが助けようと動きますが、果たしてフランシスは無事生還できるのでしょうか。
今回は、複数の女性を監禁した目的・なぜグレタは倒れたのか・グレタを箱に入れたラストの意味を考察します。
グレタの欲求とは
フランシスが戸棚を開いて真実を知ってからというもの、グレタの異常性が顕著になりました。
グレタはなぜこのような屈折した精神の持ち主になったのでしょうか。
膨らむ理想の母親像
グレタは自分の娘を自殺に追い込むくらい教育熱心な母親でした。
優秀な娘を育てたいという自分の願望を最優先にしたようにも見えますが、本当は娘のためを思っていたわけではないのかもしれません。
優秀な娘に育てあげた母親は周囲から尊敬されるだろうという思惑からの行動だったのではないでしょうか。
そう考えると娘は自分を理想の母親にするための道具だと解釈していたのかもしれません。
また、グレタは未亡人ですが、実は夫の死にも関与していたのではないかと疑りたくなります。
夫との間で娘の教育方針が噛み合わず、邪魔な存在になった夫を殺した可能性が充分あるのではないでしょうか。
夫は娘を自由にさせたいと考えていて、離婚を切り出していたのかもしれません。
だとしたら離婚は理想的な母親像に傷をつける恐れがあると判断したはずです。
夫が死ねばグレタは可哀想な未亡人として扱われるでしょう。だから離婚ではなく殺害を選択し、自ら未亡人になったと考えられます。
フランスに憧れて
本作でグレタはフランス人だと偽っており、フランスへの憧れが随所に見られます。
本当にフランスに憧れていたのならフランスに住むはずですが、なぜ彼女はアメリカに来たのでしょうか。
仮にフランスに住んでしまったら、グレタが生粋のフランス人でないことが簡単にバレてしまいます。
むしろ自分がハンガリー人であることをまざまざと見せつけられるかもしれません。
だからあえてフランスには住まず、自分をフランス人だと勘違いしてくれる確率が高いアメリカへ来たのではないでしょうか。
彼女が望んでいたことは、本当にフランス人になることではなく、フランス人というステータスだったのかもしれません。
周りの人から一目置かれ、ちやほやされる生活が理想だったと考えられます。
狂気の原点
グレタは自分が理想的な母親になるために何人もの命を奪ってきました。