いざ提督を殺そうと決心した途端、死んでいたことを知った兄弟は呆気に取られました。
提督の死は彼らにとってどのような意味を持ち、どんな影響をもたらしたのでしょうか。
人生の転換点
生きていくためには殺ししかないと考えていた彼らにとって、提督は道標であり、人生そのものだったといえるでしょう。
提督が生きていれば自分たちも殺し屋として存在できるわけですから、提督の死は兄弟の存在価値さえもゼロしかねません。
つまり提督を殺すことは人生を彼ら自身で否定することを意味するのです。
自分の人生が間違っていたと否定することは、場合によっては死ぬことよりも辛いかもしれません。
しかしシスターズ兄弟はその決断をしました。
今まで疑いもなく盲信していたものを断ち切れたのは、ワームとモリスという仲間と出会っていたからこそだと思われます。
ずっと2人きりで行動していたため、夢を語れる他者との出会いは激しく化学変化を起こしたのでしょう。
黄金を手にすることも理想郷を実現させることも叶いませんでしたが、兄弟は辛い人生を覆すチャンスを得たと考えられます。
呪縛からの解放
権力からの解放は父親殺害の時以来だったはずです。しかし兄弟は新たな権力である提督を自ら欲してしまいました。
彼らは本当の意味で権力から解放されたわけではなかったのでしょう。ですが今回は違いました。
チャーリーが片腕を失ったこともありますが、提督の死によって彼らは殺し屋を続けられない状態に陥ったのです。
これにより否が応でもこれまでとは全然違う生き方を強いられました。
それは一見絶望的のようですが、実は権力から遠ざかる絶好の機会だったと考えられます。
本来の兄弟の姿へ
殺し屋を引退したシスターズ兄弟は故郷に戻ることにしました。
チャールズが片腕を失ったことから、これからの生活が非常に不便なものになることは確実です。そうなったらイーライの出番。
チャーリーをサポートできるのは自分だけだと、イーライの頭に浮かんだのではないでしょうか。
殺し屋をしている時は弟の一歩後ろにいる存在でしたが、今度ばかりは張り切って長男としての役割が果たせます。
職とチャーリーの片腕を失った代わりに、彼らは兄弟としての新たな絆を構築できたといえるでしょう。
まとめ
一攫千金を追い求めた者が主役となったゴールドラッシュにおいて、シスターズ兄弟たち4人は富より理想郷を望みました。
権力者が幅をきかせた社会を覆すために殺し屋と化学者たちが手を組むストーリーは、それだけで夢があります。
ですが裏を返せば当時のアメリカで貧富の差が広がっていて、不公平を感じた人々が多かったことを証明しているといえるでしょう。