出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B075CS4DPM/?tag=cinema-notes-22
映画『バイバイマン』は2017年公開のホラー映画で、ロバート・デイモン・シュネックの『The Bridge to Body Island』が原作です。
名前を口にした者に死をもたらす男バイバイマンと主人公達を巡る物語が本作の見所となっています。
監督はステイシー・タイトルに主演がダグラス・スミスとルシエン・ラヴィスカウントという布陣です。
あらすじは1969年に起こった大量殺人に端を発するエリオットやジョン達現代の若者を取り巻く怪事件に焦点を当てています。
本稿ではそんな死をもたらすバイバイマンと犬の正体をネタバレ込みでじっくり考察していきましょう。
また、ジョンがショー刑事に伝えたことやアリスが読めなかった意味なども併せて見ていきます。
ホラー映画版『ハリー・ポッター』か?
本作の設定とビジュアルを見たとき、誰しもが第一に連想するのは『ハリー・ポッター』シリーズではないでしょうか。
バイバイマンとヴォルデモートはその見た目と「名前を口にしてはいけない」という設定などかなり共通しています。
ことによると、悪意のあるパロディをしたのではないかという見られ方をしても不思議ではありません。
勿論それが悪いのではなく、それだけ21世紀映画の代表としての評価が今日に確立されているのです。
そのように見ていくと、本作は『ハリー・ポッター』をホラー映画として再構築しようとしたのかもしれません。
元々根の部分が暗い物語ですから派生の解釈が生まれても不思議ではないことが本作には窺えます。
バイバイマンと犬の正体
本作でラストに至るまで明かされなかったのはバイバイマンと犬の正体です。
果たして彼らは何者で、何が目的で主人公達を追い詰めるのでしょうか?
あらすじを整理しつつ彼らの正体を考察していきましょう。
“恐怖”の具現化
結論からいえば、バイバイマン自体は何ら実体をもって存在しているわけではありません。
あくまでも実体無き“恐怖”がエリオット達にそういう姿を見せているに過ぎないのです。
いってみれば麻薬中毒者の禁断症状として見られる幻覚・幻術の類なのではないでしょうか。
電気をつけると姿が消えたりキムが突然倒れたりジョンがウジ虫の幻覚を見るようになったりしました。
大事なのは”思い込まされている”ことであり、恐怖を煽りに煽って正常な判断をしにくくした結果でしょう。
“暴力”の具現化
二つ目が犬の正体ですが、こちらもバイバイマン同様実体ではなくあくまでも猟犬の姿をした幻覚に過ぎません。
犬の正体とは即ち”暴力”、もっといえば恐怖から生じた闘争本能の具現化ではないでしょうか。
猟犬とは元々狩りの為に用いられる犬であり、ラリーが猟銃を持って出たシーンにそれが顕著です。
自分が生き延びる為に疑心暗鬼を生じ、その結果闘争本能を尖らせ暴走させています。