映画冒頭ではゲインズ一家は仲が悪いイメージがありますが、娘のブレイクとレイは仲が悪いと思わせるシーンがありませんでした。
むしろ父親は娘を愛し、娘は父親を尊敬しているように見えます。つまり、ブレイクはレスキュー隊員である父親をよく見ているのです。
電子式の物は使えないから、ダイヤルかボタンの電話を
引用:カリフォルニア・ダウン/配給会社:ワーナー・ブラザーズ
これは電気屋に入ったときのブレイクのセリフであり、父親を見ていたからこそ役立つ知識です。
その他にも、非常具や無線チャンネルなど、レスキュー隊員の娘だからこそ冷静に状況を分析し、正しい行動ができました。
これがブレイクが生き延びることができた一要因です。
水面はビル現在地のぎりぎりだった
津波に襲われ、ビル内がどんどん水で満たされていく中、ブレイクはちょうど津波の水面ギリギリの高さに取り残されてしまいます。
これがブレイクが生き延びる要因になります。これがもっと高い場所に水位が来ていたら…
つまり、津波に巻き込まれはしましたが、水面ギリギリの高さまで登っていたため助かったのです。
また、すぐそばに「娘の死を乗り越えて、娘を助けようとしている」レスキュー隊の父親がそばにいたことも大きいでしょう。
呼吸停止時間と救急隊員
次は現実的な水難事故の救助の場面で、実際にブレイクのような状態になった時は生き残る可能性があるのか、ということを見ていきます。
ブレイクが助けられた要因は、こちらの観点から見ると「生き残る可能性は高かった」と思われます。
応急救護を開始する時間は1分(映画内の時間)
呼吸停止や心停止、それぞれに症状が続くと危険な「レッドゾーン」の時間があります。
ブレイクが水の中で呼吸停止してから、レイが応急救護(心臓マッサージや人工呼吸)を始めるまでに1分弱の時間がかかっています。
実は呼吸停止してから1分弱であれば、かなり死亡率は低いようです。
心停止の場合だと、停止してから3分間応急救護をしないと生存率は50%になります。
一方呼吸停止の場合、生存率50%になるのは、応急救護開始までに10分の時間があるので、1分弱はかなり短いと言えるでしょう。
だからと言って、すぐに呼吸停止からすぐに応急救護しても助からない状況はあるでしょうが、ブレイクの生存確率は高かったのです。
応急救護するのは「プロ」
応急救護のさることながら、やはりその応急救護をするのが「プロ」であることがブレイクが生き延びる大きな要因でしょう。
通常心臓マッサージは、肋骨が折れるくらいまで押し込むのが普通で、素人でそこまで力を入れられる人は少ないでしょう。
その点レイは「プロ」であることからも、ブレイクの生存率を上げることに一役買っていることは間違いありません。
大惨事からでも「また作る」
サンフランシスコを含むカリフォルニア州全体を襲った巨大地震は、大きな爪痕を残しました。
一方、家族との絆を取り戻したゲインズ一家。エマがレイに今後どうするのか聞くと、レイはこう答えます。
また作るさ
引用:カリフォルニア・ダウン/配給会社:ワーナー・ブラザーズ
そこにマロリーの死を引きずるレイの姿はありません。というか、大惨事すぎてそれどころではないでしょう。
こう力強く答えるレイと一緒に画面に映るのは、妻のエマや娘のブレイク。そしてベンとオリーのテイラー兄弟です。
ブレイクとベンが今後くっつくことを示唆しながら、映画はまた未来を作り直す人間の強さを表現していました。
映画はゲインズ一家の家族仲がメインの内容ですが、そこには大惨事から立ち直ろうとする人々も描かれています。
巨大地震によって失ったものが大きすぎて見えにくいかもしれませんが、それによって残ったものは大事にすべきものです。