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映画『ナイトクローラー』は2014年にアメリカで公開された犯罪スリラー映画です。

監督はダン・ギルロイ、主演にジェイク・ギレンホールとレネ・ルッソを組ませることになりました。

物語は学も人徳もない犯罪者ルイス(ルー)とテレビ局のプロデューサー・ニーナというヘンテコなコンビのお話です。

普通なら関わらない二人が何故か意気投合し事件は妙な方向へ発展しました。

本稿では主人公が過激さを追う真意をネタバレ込みでじっくり考察していきましょう。

またニーナが映像を買い取った理由や監視カメラへの笑みの意味なども併せて読み解きます。

正気と狂気

正気と狂気の間―社会・政治論

本作最大の特徴は主人公ルイス・ブルーム(ルー)とニーナを中心に描かれる「正気と狂気」です。

育ってきた環境も社会でのステータスも全く違う二人ですが、刺激的な映像を求める点は共通しています。

その上で面白いのは主人公のルーが完全な狂気でニーナが完全な正気という安易な分類がされていないこと。

主演のジェイクの目力と演技力が高すぎる為にそう見えるだけで、彼だけが狂っているわけではありません。

ニーナがやっていることは犯罪の片棒担ぎでとても正気の人間がやることではないでしょう。

その境界線の危うさをベースに犯罪者がとんでもない形で成り上がっていくのが本作独自の構造です。

主人公が過激さを追う真意

ちょっと過激な幸福論

本作最大の特徴は主人公ルーの底知れない気持ち悪さにあり、行動・言動共にエスカレートしていきます。

果たしてそこまでして彼が過激さを追求する真意はどこにあるのでしょうか?

あらすじを整理しつつ、ルーの行動原理などを含めて掘り下げていきましょう。

ダークトライアド

秒で見抜くスナップジャッジメント

まず全体的なルーの行動原理は”最も関わってはいけない人”、即ちダークトライアドの特徴を満たしています。

ダークトライアドとはナルシシズム・マキャベリズム・サイコパスの三つの特徴を持ち合わせた人のことです。

ルーはこの条件を満たしており、報道パパラッチのナイトクローラーのニーナをまず自分の目的に利用します。

撮影現場ではもう一人の犯人リックが用済みとなると信用出来ないからと簡単に切り捨ててしまうのです。

挙句の果て警察には「犯人の車が自分を追跡してきた」とあからさまな嘘をついても罪悪感がありません。

こういう表に目立つ言動・行動だけでもルーは十分にダークトライアドといえるでしょう。

環境の問題

新版 環境と人間

二つ目に挙げられる真意はルーが囲まれていた環境ではないでしょうか。

ダークトライアドという特徴も最初からそうだった訳ではなく、関わる人や環境でそうなる場合が殆どです。

明確に描写されていないだけで、小さい頃からそういう人間の醜さ・汚さを味わう環境に居たのでしょう。

本編ではより過激な映像を求めるニーナのせいでよりその辺に拍車がかかったのではないでしょうか。

人間どんなに意志が強い人だって環境には勝てず、誰と関わるかで全く生き方が違ってくるのです。

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