出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B074TZBKK1/?tag=cinema-notes-22
2016年公開の『お嬢さん』はカンヌ国際映画祭コンペティション部門ノミネート作品として、大きな注目を集めた映画です。
原作はサラ・ウォーターズ著「荊の城」ですが、注目のラストシーンは大きく書き換えられています。
社会背景を振り返り、話題のラストシーンを徹底考察していきましょう。
劇中のタコは一体何のメタファーなのか、医師や看護師の正体にも迫っていきます。
ラストシーンを紐解く
衝撃のラストシーンを迎えた本作ですが、原作とは全く違うラストシーンとなっています。
大きく変えたラストシーンに監督のどんな思いが隠されていたのでしょう。
家父長制からの解放
韓国には、現在にも続く家父長制が残っているといわれています。
家族は皆、家長となる男性の所有物であるという考え方であり、女性が抑えられてきた歴史があるのです。
それゆえ、ラストシーンではキム・ミニ演じる秀子とキム・テリ演じるスッキを自由に羽ばたかせたのではないでしょうか。
また、女性同士の「愛」は原作から引き継ぐ大きなテーマです。
劇中で秀子とスッキの精神的にそして肉体的に惹かれあう姿は性別を超えた「愛」の神髄を見せつけてくれます。
パク・チャヌク監督の思い
本作の監督パク・チャヌク氏は、原作「荊の城」に触れた時にラストは二人で幸せになって欲しい、と感じたそうです。
そしてその思いをそのまま自身の映画化につなげたのです。
結果原作とは全く違ったラストシーンになったのですが、原作者であるサラ・ウォーターズは下記のように快諾したといわれています。
完成した映画を観てその出来に満足し5回も鑑賞した結果、「原作」と表記することを承諾した
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/お嬢さん
当初はあまりにも違うラストシーンに原作という名を使用しないで欲しい、と訴えていた彼女が承諾した…。
本作は、原作者サラ・ウォーターズが魅了されたほど魅力的な仕上がりだったということでしょう。
女性が愛を通し自由になる
本作は観る者を惑わす巧妙な仕掛けが張り巡らされています。
一体何が本当なのか、誰が騙されているのか…、全てを一気に観せないことで謎はどんどん膨らむのです。
監督の見事な演出力が活かされており、観る者はどんどん作品に引き込まれていくのです。
そして待ちに待ったその答えが、ラストシーンですべて明かされていきます。
男性優位を覆す
冒頭からしばらくは男性が優位な立場であり、女性は使われたり利用されたりしています。
弱い立場として女性が描かれているのです。