そこまでの行動の素早さは事前に事の流れを計画していたとしか思えません。
警察の中で悪事を働いていることで常に緊張を強いているダグだからこそ、咄嗟の判断から刑事の殺害までスピーディにこなせたのでしょう。
猪突猛進を体現したような女性刑事
ジェニファーは内務省で働く者としては問題行動の多い女性です。
登場からカウンセリングを必要とする行動に加え、それさえも拒否する気の強さ。
捜査令状を持たずに勝手な行動を取る暴走行動は観る者の不安すら煽ります。
彼女の存在が無ければヴィンセントと息子の再会はすぐに終わったはずなのに、彼女の行動から大騒動に発展。
結果としてルビーノとノヴァクに加えダグを捕えるという功績を収めましたが、正規の手順を踏まない行動は褒められたものではありません。
しかし、彼女の存在がなければダグやマフィアを捕まえられなかったのもまた事実です。
正義のためにまっすぐ突っ走るキーパーソンが居たからこそ、ヴィンセントの追う黒幕を捕まえられたのでしょう。
隠れ蓑としての相棒
ダグの存在はジェニファーという暴走刑事の陰に隠れがちです。
彼女にアドバイスするだけで行動の遅いダグは、まるで脇役のようなポジションに感じられます。
ダグはあえて目立たないように行動することで自分が周囲の目に触れないように立ち回っていたのでしょう。
もちろん、彼自身が内務省の人間なのでマフィアとの繋がりを疑われる線は限りなく薄いと考えられます。
ダグは女性であることに加え暴走キャラであるジェニファーを相棒とすることで、自分の立場をより目立たなくさせたのです。
留守番メッセージという汚点
ダグの正体がバレるきっかけになったのは、彼がショーンに残した留守番電話のメッセージです。
メッセージの中で、彼は自身とショーンの繋がりを明確にした上でヴィンセントを始末するように告げています。
しかし、ショーンのスマートフォンは地下駐車場でヴィンセントが入手。
ダグからの留守番メッセージを聞いたことでヴィンセントの追う黒幕が明確になりました。
彼は満身創痍になりながらも、通話を通してジェニファーに証拠を突き付けます。
黒幕の証拠を共有したことで、ジェニファーはヴィンセントと繋がり真の黒幕であるダグを捕えられたのです。
潜入調査は成功か失敗か
ヴィンセントとジェニファーがお互いを認めたシーンから切り替わり、ノヴァクの死体の傍で鳴るスマートフォン。
着信表示は「DAD」。ノヴァクの父親であるマフィアの親玉です。
素知らぬ顔でスマホを拾い上げた麻薬局の人間は、着信を受けてこう言います。
ノヴァクさん、アンダーソンです。
問題が起きました。
引用:スリープレス・ナイト/配給会社:キノフィルムズ
そう告げるアンダーソンなる人物の後ろには、彼の会話をスルーする麻薬局の同僚2人。
内務省の人間にバレずに内部を調査するというヴィンセントの目的は果たされました。
しかし、それは氷山の一角でしかなかったのです。
第二第三のダグが存在する限り、ヴィンセントやジェニファーの戦いは終わらないのでしょう。
家族の絆が試されるクライムアクション映画
「スリープレス・ナイト」は、自分の仕事内容を家族にも隠して働いていた刑事の壮大なクライムアクション映画です。
息子を助けるまでのタイムリミットが迫る中、誰にも正体を明かせない主人公には常にハラハラさせられました。
最終的には家族の絆で勝利を収め、家族が1つであることの幸せを観る者に伝えてくれます。
しかし、ラストシーンで続編を匂わせたアンダーソンの存在は気になるところです。
彼の存在は終わりなき警察内部の汚職を表しているだけなのか・・・
ジェニファーとヴィンセントが相棒となって活動する日がくるのかなど、リメイク作品とは分かっていても今後の展開に期待してしまいます。