したがって目覚めた鉄雄の能力がアキラと共鳴しており、アキラも鉄雄との接触を求めていると考えられます。
博士が2人の能力のイメージが類似していると言及した点から、能力も類似していると考察できるでしょう。
金田の背中を追い続けた鉄雄
鉄雄は自分より強い力を持つアキラに興味を示し、戦うために冷凍保存から無理矢理解き放ちました。
これは鉄雄が持つ金田への劣等感から、自分より優れているものに勝ちたいという気持ちがあったためと考察できます。
大きな力を持ち、自分は変わったと感じていた鉄雄はずっと金田の背中を追いかけていたのではないでしょうか。
オリンピックとAKIRA
2020年の東京オリンピックの開催を予知していたとファンの間で盛り上がっていた『AKIRA』。
作中ではオリンピックは『AKIRA』とどのような関わりをもっているのでしょうか?
復興の象徴としてのオリンピック
2020年もそうですが、1964年に実際に東京オリンピックが開催されました。
注目すべきは日本の第二次世界大戦からの復興を世界へアピールをした側面がオリンピック開催にあった点です。
作中の2020年オリンピックも、1988年の災厄と第三次世界大戦からの復興の象徴と考察できないでしょうか。
アキラを会場予定地の地下に封印していた点からも、アキラの力の暴走からの復興としてのオリンピックといえるでしょう。
人類の頂点を決める戦い
オリンピックは世界からその競技に自信のあるプロフェッショナルが集まり、その順位を決める大会です。
また、鉄雄と金田、大佐たちの最後の戦いの地となったのはオリンピック会場のスタジアムでした。
したがって『AKIRA』でもオリンピックの会場での戦いが次の人類の覇権を握る重要な戦いであると考察できます。
ネオ東京とはどのような街なのか
金田たちがバイクで駆け抜けていた洗練された立体道路、華やかなネオンやものすごい高さのビル群。
近未来的な様相のネオ東京という都市についても迫っていきたいと思います。
高度経済成長とバブル景気
『AKIRA』が公開された当時は、日本経済がバブル景気に到達している時期でありました。
生活に物が溢れ、新たな建造物なども多く建てられた状況はネオ東京にも大きく影響をしているのではないでしょうか。
さらに、一度、瓦礫の山となった東京から復興していく流れは、戦後の日本の高度経済成長も影響を与えていると考えられます。
現代のような科学技術を持って高度経済成長を迎えたのであればネオ東京のような街の様相になっていたかもしれません。
旧市街との格差とネオ東京の闇
ネオ東京の華やかさと比べ、旧市街と呼ばれる地域はとても同じ都市とは思えないほど建物や人々の生活に格差がありました。
スラム街などもあり、急速に復興と発展を進めた結果、街の中でも人々の格差が広がっている状況といえるでしょう。
また、金田やゲリラが逃げ込んだ下水などは衛生状態が悪く公害問題も作品の中で触れられていると考えることもできます。