これは瑞紀と春男の結末にも繋がりますが、二人は奥底でお互いに認められたいと認め合いたいの両方がありました。

だからこそ大学生なのにお互いの想いを素直に伝えられず、それが悲惨な結末を生むことになったのではないでしょうか。

一見ホラーとは関係ないと思しき二人の友達以上恋人未満の描写も実は全て一本線で繋がっているのです。

そのことを知らしめる物語そのものの「統合」として、このエンドロールの秘密は存在しています。

瑞紀は生き延びられたのか?

残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法 (幻冬舎文庫)

本作一番の見所はお互いに想いながらも中々素直に想いを伝えられない瑞紀と春男でしょう。

詠子から呪いを知った二人はどんどん深みにはまっていく中で壮絶な運命に巻き込まれます。

終盤、冬美に突き飛ばされたことが原因で瑞紀は記憶喪失になってしまい入院しました。

彼女が果たして生き延びられたのか、春男との対比も込めて見ていきましょう。

記憶喪失=呪いからの解放

記憶喪失の君と、君だけを忘れてしまった僕 (スターツ出版文庫)

まず結論からいうと瑞紀は生き延びられたことになり、奇跡的に呪いから解放されました。

皮肉にも記憶喪失によって彼女の中でシライサンの存在は消えてしまったことになります。

ただしそれは記憶喪失という重い代償を払ってのことで諸手挙げて喜ぶことは出来ません。

それは同時に彼女の中の様々な想いや経験値の積み重ねがリセットされたことになるのですから。

そしてそれが今度は悲惨な裏側の結末を生み出すのです。

瑞紀の代償を肩代わりした春男

J-49 平和の代償 (中公クラシックス)

そしてその瑞紀の記憶喪失による呪いの解放の代償を肩代わりすることになったのが春男です。

瑞紀が記憶喪失になることは同時に春男への想いや存在そのものが消え去ったことになります。

これは彼からしてみれば自分の存在意義を半分ほど否定されたようなものでしょう。

その後踏切でシライサンに出くわし、電車によって強制的にシライサンから目を逸らすことになってしまったのです。

そう、春男は承認欲求を押し殺し何も代償を払わず逃れようとしたから死ぬことになりました。

結末自体はぼかしてあるものの、あの流れではまず助からないのではないでしょうか。

危機が去ったわけではない

とはいえ、完全に瑞紀から危機が去ったのかというとそうではありません。

あくまでも拡大感染型の呪いなので、どこかでまたシライサンの存在を知ることも有り得ます。

そうなると今度こそシライサンから逃れる方法はないのではないでしょうか。

親友をはじめ大切な人を次々に失った瑞紀は最後に一番大切な人となった春男を失ったのです。

なのでリスクは決してゼロになっておらず、一生その危機はつきまとうことになります。

情報を遮断することが難しい現代社会においては尚更のこと難しいのではないでしょうか。

シライサンが承認欲求の塊である意味

「承認欲求」の呪縛(新潮新書)

シライサンの発祥は民俗学の祈祷で日本を災いから守り続けていた祈祷師の女性でした。

そんな彼女がなぜ承認欲求の塊として現代の呪いの元になったのでしょうか?

あらすじを追いながらその意味について考察していきましょう。

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