しかし永久凍土の中にいる恋人はあまりにも美しく、時間が停まってしまったかのようでした。
追想シーンのように幸せな時へと時間を戻したいものですが、いくら望んでもそれは不可能です。
恋人の側にいれば、永遠に一緒の時間を過ごせる…、そう思ったのではないでしょうか。
彼女は死を決意して、恋人の側に残ったと考察出来ます。
大切な人と一緒にいたいという想いが、彼女に死の選択をさせたのかもしれません。
心がハンに揺らいだ為、姿を消した
シャオタイズは次第にハンに心を奪われているかのように描かれていました。
もしも恋人の遺体を見つけることが出来なかったら、彼女は生きてハンと同じ時間を過ごしたでしょう。
しかし恋人の亡骸と遭遇したことで、恋人への想いが強まっていったのではないでしょうか。
仮にシャオタイズが助かり、救出されていたとしても恋人への想いを秘めたままハンに逢いたくなかったのかもしれません。
恋人をエベレストに置き去りにして自分だけ幸せになれない、という思いがあったのでしょう。
ファンタジー要素が絡むシャオタイズの生
本作にはファンタジー要素もプラスされています。
シャオタイズが奇跡的に助かるシーンは、恋人からの守護が関係しているようです。
崖から落ちたのになぜ助かったのか
武器商人ヴィクターに崖に突き落とされたシャオタイズは、なぜ命を取り留めたのでしょう。
通常なら完全に死亡するか、運が良くても凍死は免れません。
彼女が突き落とされる前に星のきらめきが彼女を包み込んでいますが、このシーンは彼女が守られていることを示しています。
おそらく死んだ恋人の想いが彼女を救ってくれた、ということなのでしょう。
エベレストは聖域であり、人の思いが強く終結した場所でもあります。
不思議な力が働いていたと考えても不思議はないのかもしれません。
彼女の思いの強さが「生」として表現されている
本作を観た人の中には「なぜシャオタイズが死なないのか」と疑問視する声も多くあがっているようです。
本作のプロデューサーを務めるテレンス・チャンは、リアルさを求めたと発言しています。
もしリアルさのみを求めたのなら、シャオタイズは劇中ですぐに死ぬことになるはずです。
彼女が、幾度も信じられない窮地を生き延びた理由は恋人への想いの強さを表現する為ではないでしょうか。
人は大自然エベレストには太刀打ちできませんが、人の想いだけはエベレストの脅威よりも強いのかもしれません。