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映画『デメキン』はお笑い芸人・バッドボーイズの佐田正樹の実話を基にした自伝小説を実写化した作品です。
山口義高監督と足立紳の脚本で再構成された映画版は漫画版の群像劇スタイルと違いバディものに再構成されています。
小さい頃いじめられっ子だった熱血漢・正樹とクールな色気を秘めた厚成という王道のコンビの掛け合いが見所です。
主演の健太郎と山田裕貴もまたそれに見合う格好いい役者達として違和感なく福岡一の不良を演じてくれました。
本稿では正樹と厚成が暴走族を結成し福岡統一を成していく道のりをネタバレ込みで解説していきます。
また、死んだ真木から受け継いだ信念やアキの妊娠が各連合に与えた影響なども併せて読み解いていきましょう。
不良文化の復権
本作が原作の自伝小説に漫画版、そしてこの映画版と果たした功績は「不良文化の復権」でしょう。
2017年に実写化されたことを含め既に過去の文化として埋もれていた不良を新生させているのです。
日本では80年代後半でブームとなり、その後90年代に入るとファッション化して徐々に沈静化しました。
それをこの時代に一周回って新しい王道の形として再生させ、まだまだ熱血の火が残っていたことを証明したのです。
正樹と厚成を中心に本作における「不良とは何か?」を念頭に置きながら見ていきましょう。
正樹と厚成の福岡統一の道
小学生時代にいじめられっ子からの脱却を決意した正樹は4年で厚成と親友になり不良デビューを果たしました。
その後高校に入ると仲間内で暴走族「亜鳳」を立ち上げ、遂には二人で福岡連合のトップにまで上り詰めます。
この嘘のような本当の話を二人がどのように実現したのか、あらすじを整理しつつ見ていきましょう。
二人の師匠
まず正樹と厚成にはのし上がっていく上で二人の師匠に出会っていることが大きく影響しています。
一人が後述する真木、そしてもう一人が『汝風』総長の大八という二人の大物です。
ここでは大八に絞りますが、彼には「仲間には優しく、従わない者には容赦なく」という姿勢がありました。
大八が福岡連合を立ち上げて次々と不良グループを傘下につけて従えていき勢力を伸ばしたのです。
彼の教えが正樹と厚成にしっかり叩き込まれていたからこそ、二人は福岡一へ行けたのではないでしょうか。
単なるのし上がりではなくきちんと厳しくも愛のある上下関係を叩き込まれたのが大きいのでしょう。
魅力的な仲間達
福岡連合を結成してからは特に、正樹と厚成をサポートしてくれる優秀な仲間達との出会いがありました。
中でもバッドボーイズの相方・大沼部清人と勉学に励む同級生のミツグの加入は大きいでしょう。
特にミツグの存在はインテリ系という意味でも中々得がたき人材であり、そういう仲間の力が大きいのです。
やはり人間大事を成そうとすれば一人では限界があり、仲間の力と時の運は必要となります。
ありがちですが、いつどんな時代でも仲間の力は自分の実力以上のステージへ引き上げてくれるのです。
しかも殴り合いや喧嘩だけではなく話し合いという人道的な解決もしているのがより印象を良くしてくれます。