人間を誤解したままになるのが嫌だと訴えていましたが、彼女は人間を代表して概念を教えようとしていたわけではないはずです。
ただ個人的な動機で概念を奪わせたに過ぎません。
言葉にならないほど愛している
概念を教えるというのは建前で、本当は自分の愛を受け取って欲しいという気持ちが強かったのではないでしょうか。
自分がどれほど相手を愛しているのか伝えるのは難しいものです。
ありきたりな言葉では表現できない歯痒さが鳴海にはあったように見えます。
牧師に愛を教えてもらうシーンでも分かる通り、いくら綺麗な言葉を並べても相手には伝わりません。
だからこそあえて概念を奪われる選択をしたのでしょう。
この世への執着を捨てる
もしこの世に愛するものがいなければ、生きることに執着せずに死ねると鳴海が考えた可能性もあります。
鳴海は真治と一緒に生きたいと強く感じていました。彼女が死に切れないのは真治への愛があるからなのです。
それさえ消えてしまえば鳴海にとって死はそれほど怖くないのではないでしょうか。
生きることへの執着を捨てるためにも概念を奪わせたと考えられます。
なぜ侵略をやめた?
鳴海から愛の概念を奪った真治ですが、彼は通信機を持っていませんから、概念を宇宙に送信することは不可能だったはずです。
であれば宇宙にいる仲間が愛の概念を知ることはできなかったでしょう。
しかし結果的に彼らは侵略を中止しました。なぜ彼らは中止の判断をしたのでしょうか。
病院に集まる大勢の患者
真治は鳴海と一緒にいましたし、あきらは警察に確保されていました。
天野も桜井と共に行動していたのですから、それほど多くの概念は奪っていないと推測できます。
ではなぜ病院にあれほどの患者が集まったのでしょうか。
どうやらこの3人の他にも宇宙人が来ていたと考えるしかなさそうです。
宇宙人は3人だけじゃない?
真治達は比較的すんなり仲間を見つけられたように見えます。
もし彼らが北海道と沖縄に分かれていたら、仲間探しに苦労したはずです。
そう考えると宇宙人ごとに担当エリアが決まっていたのかもしれません。
3人の管轄エリア以外にも宇宙人は派遣されていて、そちらも数人のチームで概念を奪っていたのではないでしょうか。
宇宙人といえども体は人間ですから、あきらのように事故などで死ぬ場合だってあります。
そんな時のためにも、多数の宇宙人を地球に投入したと考えるのが妥当です。
そして真治達以外のチームも愛の概念を獲得し、通信したのかもしれません。
まとめ
概念が1つ奪われただけで人格が崩壊したり、逆に幸せになれたり。
この作品を見ると、人間がどれだけ概念に頼って生きているのかが分かるのではないでしょうか。
それに愛の概念だけで宇宙人の侵略を止めることができるのも考えさせられます。
そこには「人間は愛の概念を持っているのに、なぜ戦争は無くならないのか」という訴えが込められているのでしょう。
そう考えると人間の方が宇宙人よりも遥かに脅威となる存在なのではないでしょうか。