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2016年に公開された『映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』は同タイトルの漫画版並びに旧作のリメイクです。

27年越しの本作は大筋は原典をなぞりながらもドラマ性の強化とテーマ性の掘り下げに重きを置いています。

具体的にはのび太の家出・のび太とククルの関わり・更に終盤での精霊王ギガゾンビとのバトルシーン等々です。

何よりも旧作がのび太中心の活躍だったのに対して本作では残りのドラえもんたち4人にも見せ場があります。

そうした部分を補完したことでより文芸としての深みを増した本作は興行収入41億を突破しました。

本稿では不死身の精霊王・ギガゾンビが歴史支配を目論んだ理由をネタバレ込みで考察していきましょう。

また彼が「ワシ」と「私」と一人称を混用していた理由についても併せて見ていきます。

成長と自立、そしてそのアンチテーゼ

子どもが自立できる教育 (小学館文庫)

導入文でも少し触れましたが、本作で重点的に描かれたテーマは「成長と自立」にあります。

のび太を中心にしずか・スネ夫・ジャイアンと全員成長しますが、ここが何よりも原作・旧作との違いでしょう。

原作・旧作では家出は冒険へのきっかけでしかなく、それがのび太たち5人のドラマに直結したわけではありません。

ですが本作ではのび太とママを中心に自立を求めて家出した少年少女達という要素をしっかり物語の核に絡めました。

また、ヒカリ族や精霊王の設定が単なるギミックでしなかったのをより詳細に掘り下げ物語の中に組み込んでいるのです。

このテーマを中心に文芸としてより骨太な作品となった本作のアンチテーゼであるギガゾンビと共に読み解きます。

ギガゾンビが歴史支配を目論んだ理由

場を支配する「悪の論理」技法

原作・旧作で強化されたのはドラえもんたちヒーロー側だけではなく悪側のギガゾンビも同じです。

かつては得体の知れないセンス・オブ・ワンダーの塊で底知れぬ恐怖の象徴であったギガゾンビ。

そのギガゾンビが何故歴史支配を目論んだのか、再構築された物語のテーゼと共に考察していきましょう。

のび太たちの暗黒面

暗黒童話 (集英社文庫)

ギガゾンビは自らの歴史支配の目的を古代の世界ならば自分で支配できるからだと語っていました。

しかし、実はこの目的自体は自由を求めて原始時代の日本にやって来たのび太たちと何ら変わりません。

どちらも「自分たちの存在を邪魔する者が居ない」という点において全く同一の存在です。

ここが旧作では一つの設定・ギミックだけでしかなかったことから生じなかったドラマツルギーでした。

即ち手段は違えど本質的にギガゾンビはのび太たちの暗黒面を体現した存在として強調する為です。

ドラえもんのアンチテーゼ

アンチテーゼ

そして物語は更に終盤のドラえもんとギガゾンビの一騎打ちでこの部分を掘り下げ深化させます。

23世紀の技術を使う者と22世紀の技術で戦う者…この対比が浮き彫りとなったのです。

即ちドラえもんが暗黒面に陥ってしまったらこうなるという事例を示したアンチテーゼがギガゾンビでした。

それ故に23世紀のギガゾンビに22世紀の道具では勝てないドラえもんというシビアさに説得力が出ます。

逆にいうとドラえもんがやっていることは本質的にギガゾンビと大差はないということです。

タイムトラベルSF故の矛盾点も含めて非常に危うい所を突く形となった両者はどこで差を分けたのでしょうか?

誕生と破壊

破壊者ベンの誕生 (新潮文庫)

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