このようにして1つ1つの犯人やケビンの行動・主張にしっかり論理的整合性を取っているのです。

だからこそケビンの手だけではどうにもならずケイト・バズ・ミーガンを呼び寄せる流れも自然となります。

実はモリーの仕業だった

必殺仕業人/新必殺からくり人

そしてこの犯行の真犯人は実は無愛想なブレスコットではなく家政婦である愛想の良いモリーでした。

モリーは実はマーブの母であり、裏から手ぐすね引いてロイヤルファミリーの誘拐計画を練っていたのです。

だからケビンが確認しようとした防犯カメラの電源を切ったりという証拠隠滅も彼女が行っていました。

このミスリードによる「善人と思われた人こそが一番の悪人」という切り返しが見事です。

これによりマーブ達が単なるノリと勢いではなく裏付けを取って犯行に及んだことが示されたのではないでしょうか。

ナタリーが過呼吸の発作を起こした理由

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ピーターがケイトと離婚してくっついたナタリーは豪邸に住む派手好きの女性でした。

しかし彼女は劇中何度か過呼吸となって発作を起こしましたが、果たして何故でしょうか?

精神的ストレス

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最初の理由として考えられるのはナタリーが精神的ストレスを抱えたからです。

彼女が劇中で発作を起こしたのは家中が水浸しになった時とラストシーンでした。

いずれもナタリー自身の予想外の出来事が起って理解が追いつかない時です。

派手好きで成金故にそのプライドを傷つけられることが嫌だったのではないでしょうか。

ラストシーンなどは離婚を切り出された上にロイヤルファミリーまで持って行かれたのです。

寧ろパニックにならない方が不自然というものでしょう。

家も人も離れていくから

2つ目にナタリーは派手好きで、見た目こそ綺麗ですが中身は成金の象徴でした。

自分を豪邸や派手なコートで着飾り、更にはケイトやピーターに対して露骨に嫌な態度を見せます。

つまり自分こそが最高で周りはその引き立て役としか思っていなかったのではないでしょうか。

思えば主人公も犯人も、そして誘拐される対象のロイヤルファミリーも全員「家族」でした。

その中でナタリーだけが家族を持っておらず、家政婦を扱き使っていたのです。

そんな彼女の元からは家も人も離れていくことになりますが、因果応報といえるでしょう。

最低のクリスマス

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そして何よりラストシーンに関してはピーターの「最低のクリスマス」という言葉がその引き金でしょう。

この台詞は冒頭でケビンも口にしており、親子揃ってマカリスター家は「最低のクリスマス」といったのです。

意味合いは微妙に違いますが、どちらも「家族と一緒にいられなくて寂しい」ことは共通していました。

ということは即ち家族を持っていないナタリーはその最低のクリスマスの象徴にされてしまったのです。

ある意味マーブ達よりもタチが悪い本作の悪人はナタリーだったのかもしれません。

家族の描かれ方

家族関係を考える (講談社現代新書)

本作における家族の描かれ方はそれぞれに違っていますが、中でも象徴的なのはやはりマカリスター家でしょう。

最初はバラバラで冷えきったこの一家がどのように描かれていたのかを改めて見ていきましょう。

ケビンは等身大の子

当事者研究――等身大の〈わたし〉の発見と回復

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