出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B006QJS8G2/?tag=cinema-notes-22

スパイアクション映画の革命児であった前作を受けて2004年に公開された映画『ボーン・スプレマシー』。

ジェイソン・ボーンという新しいスパイヒーロー像を確立したマット・デイモンの更なる飛躍となった一作です。

華麗なカーチェイス、イタリアやドイツのベルリン、更にはロシアと前作に続き世界中を股にかけています。

それでありながら物語の本筋は極めて地に足の着いた骨太なもので、誰もが思わず目が釘付けになることでしょう。

本稿ではボーンが終盤で暗殺者を見逃した理由をネタバレ込みで前作の流れも踏まえながら考察していきます。

また、マリーがボーンを止めようとした理由やラストでアボットが自害したわけについても掘り下げましょう。

「スプレマシー」の意味

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タイトルの「スプレマシー」は「至高の」「最上級の」という意味ですが、これには色んな意味があります。

まず前作より強化されたドラマ性とアクションによって作品自体が至高のものになったという意味です。

二つ目にボーンの真の敵が石油王グレツコフという影の至高な存在のものであるということ。

そして三つ目にジェイソン・ボーンが復讐や過去との因縁などを振り切って至高の存在となりました。

前作が「ジェイソン・ボーン誕生」の物語だとするなら本作は「ジェイソン・ボーン完成」の物語です。

そのことを念頭に置いて本作の物語をじっくり考察していきましょう。

ボーンが暗殺者を見逃した理由

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本作終盤でボーンは暗殺者にして前作の上司であったアボットをカーチェイスの末に追い詰めます。

殺そうと思えば殺せたはずの彼を何故かボーンは殺さずに見逃してしまいました。

あらすじを追いながらボーンが殺さなかった理由を見ていきましょう。

目的は言質を取ること

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まずボーンがアボットを殺さなかった第一の理由はアボットの言質を取ることが目的だったからです。

確かにアボットは私利私欲で石油王グレツコフに魂を売り渡しボーンを利用した最低な男ではあります。

しかし、だからといってその場しのぎの無用な感情に流される程ボーンは安い男ではありません。

実際アボットの言質を録音した音声テープをCIAのパメラ宛に送付していたことからも明らかです。

決して恨みがない訳ではないでしょうが、アボットに関しては殺意を抱くには至らなかったのでしょう。

復讐の相手はキリル

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二つ目にボーンの復讐の相手は別に居て、それが序盤で恋人のマリーを殺した刺客キリルです。

本作のややこしい所はボーンの動機が恋人を殺された復讐に見えかねない所にあります。

しかしマリーとの恋やそこから生じた復讐心はあくまでも後付けとして芽生えたものに過ぎません。

前作でも行きずりで出会った形なのでずっと一生を添い遂げられる保証はありませんでした。

だからこそ「復讐」と「任務」という要素をしっかり書き分けたかったのではないでしょうか。

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