あなたの未来はまだ白紙です。白紙だからどんな未来も描けます。すべてはあなた次第なのです。
引用:ナミヤ雑貨店の奇蹟/配給:KADOKAWA、松竹
この浪矢の回答が最後まで頑なだった敦也の心を開き、自分の信じる未来への道を描かせたのです。
最後の返事が3人の運命を動かす
浪矢雄治の最後の回答に対する返信は、敦也、翔太、幸平の描いた将来の夢を実現した姿を示すことでした。
それがエンディングシーンで流れる働く3人の姿で、彼らは将来の夢を書いて丸光園に掲示しておりその夢に向かって進んだのです。
ナミヤ雑貨店での不思議な奇蹟は3人の青年の猜疑心を取り払い、ナミヤ雑貨店相談窓口も丸光園の園長になった晴美によって受け継がれました。
原作「ナミヤ雑貨店の奇蹟」について
「ナミヤ雑貨店の奇蹟」は東野圭吾の長編小説で、月刊誌「小説 野性時代」の連載を経て、2012年3月に角川書店より単行本として出版しました。
第7回中央公論文芸賞を受賞し、この小説は映画のほかにも2013年から2020年までに舞台やミュージカルとして上演されています。
また、メインキャラクターの構成と時代背景が変更し中国でも映画化され、日本の作品とは一線を引いたものとなっています。
テーマは「REBORN」再生
人はどこから来て、どこに向かうのか?
この映画の世界観は今を生きる人と、今はもういない過去の人との繋がりによって人生は成り立っていることを表現しています。
主題歌の「REBORN」は“死生観”がテーマです。人の生死のみならず、親子の絆や伝統文化の継承もそれにあたるのではないでしょうか。
セリは克郎の曲を歌い継いでいくこと、映子は生きることに誇りを持ち、ナミヤ雑貨店お悩み相談を晴美が受け継ぐことが“再生”といえるのです。
二つの「REBORN」
この曲を書き下ろした山下達郎はインタビューで数々の映画音楽を手掛けた中でも、1、2を争う難しいテーマだったと回想しています。
セリ役の門脇麦が歌う「REBORN」は、山下達郎バージョンとアレンジが違っているので聴き比べて映画の世界観をイメージするのもよいです。
或る一夜の奇蹟
この映画は雑貨屋の店主が始めた小さな悩みから深刻な悩みまでを親身に考え答えてきたことが、未来の悩める青年を再生する奇蹟の物語でした。
この作品は単純にファンタジーとして楽しむこともできますが、作中の一人一人のエピソードは現実にある悩みでもあります。
時代は変わっても浪矢雄治のアドバイスは、そんな悩みを持つ人の心に響き、腑に落ちる内容ばかりでした。
映画を観終わったあともし、こんなお悩み相談窓口があれば、頼ってみたくなった人も多くいたのではないでしょうか。