悪くいえば、夫の意志を無視して半強制の子作りをする妻などただのがっついてる嫌な女です。
これがクニオの柔らかく温かい人柄でなければ間違いなくこの一件だけでも離婚案件でしょう。
それが嫌味なく演じられたのは北川景子の熱量ある演技力と裏表のない真っ直ぐな人格故です。
彼女でなければ間違いなく反感を買うであろうサチのキャラは成立していません。
そんな彼女のキャラを受け止めながらも当たり負けしない松重豊もまたいい味を出しています。
子供ができない理由
しかしながらそんな奮闘も虚しくヒキタ夫妻にはなぜだか子供が出来ず悪戦苦闘の日々。
何故彼ら二人には子供が出来ないのかを明らかにしていきましょう。
精子の運動率
一番の理由はクニオの精子の運動率が20%以下であるという理由からでした。
つまり健康的な生活を送っているのに精子だけがほぼ死んでいる状態なのです。
コミカルに描かれていますが、実はこの精子の運動率は結構侮れない死活問題であります。
不妊問題では実は原因の半分が男性にあり、決してクニオさんを笑うことは出来ません。
それ位かなりシビアな問題となっているのです。
精子に悪い食事
二つ目に懐妊まで禁酒する描写があったことから精子に悪い食生活をしていたことも原因です。
本作ではお酒が原因でしたが、他にも高脂肪や糖質の高い食事・添加物や加工の食材も悪いとされます。
子作りにおいてもまた食生活が大事というのは意外と世の男性に対して深い教訓となるでしょう。
逆にいうと彼女と子作りする前までのクニオが如何に食生活に無頓着であったかが窺えます。
食生活は人間が生きていく上で最も大切な三大要素の一つということを改めて思い知ったことでしょう。
加齢
三つ目の原因はやはりヒキタクニオが45歳という高年齢で子作りを始めたことにあります。
何故男性が結婚や子作りを若い時に行うのかというと生殖機能が年齢と共に衰えるからです。
45歳という初老を超えて50代に手が届こうかという男性ですからハードルは余計高いでしょう。
ここにサチが二回り年齢が若いという落差のある設定が活かされています。
老いというのはクニオにとって凄く大変な壁だったのではないでしょうか。
夫婦で挑んだ試練
予想外にハードルの高い子作りに苦労するヒキタ夫妻は様々な試練に挑むことになります。
彼らがどんな試練に挑みどう乗り越えたのかをここでは考察していきましょう。
治療費の問題
まず最初にかかるのは不妊治療に伴って発生する治療費の問題です。
専門医の桑島医師から人工授精を提案されますが、うち一回は顕微授精を勧められます。
しかし、金銭面の事情から彼らはその選択肢を一度断念して人工授精を選ぼうとするのです。