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映画『ヒメアノ~ル』は古谷実の原作漫画を2016年に実写映画化した作品です。
監督は吉田恵輔、主演と助演は森田剛・濱田岳・佐津川愛美らが演じています。
物語の特徴は実にシンプルで前半が岡田・ユカ・安藤の三角関係、後半が森田の殺人事件という二段構えです。
前半のほのぼのとした日常から後半のホラーへの変質が凄く、物語を一気にシリアスなものへと塗り替えました。
本稿ではユカが岡田を好きになった理由をネタバレ込みで考察していきましょう。
また岡田のユカに対する思いや森田がユカに目をつける理由も併せて見ていきます。
振り子理論
まず本作全体にいえるのは「振り子理論」によって成り立っているということです。
前半が萌えアニメと見紛う程の甘いラブコメに対して後半は一気に森田の存在でホラーへと変わります。
日常の平和の尊さは死と隣り合わせの危険な非日常で成り立っているということです。
だから前半だけでは物語として軽すぎるし後半だけでは重すぎます。
そしてそれを違和感なく落差として見せられたのは何といっても森田剛の演技力でしょう。
V6のキラキラアイドルのイメージからは想像もつかないサイコキラーぶりが作品のイメージを変えました。
彼はある意味でこの作品をしっかり成立させた屋台骨ではないでしょうか。
ユカが岡田を好きになった理由
前半のシーンでは岡田・ユカ・安藤のラブコメで成り立っています。
彼女は何と自身に思いを寄せる安藤ではなく岡田を好きになったのです。
その理由を物語を追って考察していきましょう。
一目惚れ
まず一番の理由は単なる「一目惚れ」であり、実にシンプルな理由でした。
これはもう嘘偽りのない本音であり、理屈は後からついてきたのでしょう。
女性が恋をするときによく「子宮で恋愛する」といわれますが、やや正確さを欠きます。
実際には腹の下にある仙骨の反応、ここに権威があってユカは岡田と出会った時そこが反応したのでしょう。
逆にいえば人間は本来そういうシンプルな感情の生き物であることを示しています。
森田から守ってくれるボディガード
二つ目に岡田の存在がユカを森田から守ってくれるボディガードであるからではないでしょうか。
ユカが気にかけていたことの一つに森正一からのストーキング問題がありました。
岡田と森田は中学~高校時代の同級生であり、決して無縁の存在ではありません。
逆にいえば森田を知る人が近くにいてくれたことはユカにとって大きかったのではないでしょうか。
実際に後半のシーンでは岡田が責任をもって彼女を森田から守ってくれます。
そういう男としての頼りがいという一面も実は伏線として織り込まれているのです。