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映画『そんな彼なら捨てちゃえば?』はグレッグ・ベーレント&リズ・タシーロの原作を2009年に実写化した作品です。
原題は『He’s Just Not That into You(彼はあなたに興味がない)』であり、全米第1位の大ヒットを記録しました。
今でいう「婚活」を題材にして様々な男女の恋愛模様を描いた群像劇として、非常によくまとまっています。
キャストも豪華でベン・アフレックやジェニファー・アニストン、ジェニファー・コネリーと粒揃いです。
本稿ではラストでベスが指輪を準備した理由をネタバレ込みで考察していきましょう。
また、ジジの片思いが実った真意と群像劇スタイルで展開される複雑な恋模様にも迫っていきます。
男女関係の成功と失敗
本作を評価する際によく「女性の”恋愛と結婚あるある”を描いている」という評価が見受けられます。
しかし、果たしてそれだけで全米第1位の大ヒットを記録することが出来たのでしょうか?
本作の男女関係は成功と失敗の2つのパターンに分けて描かれていますが、ある共通の法則が働いています。
それは何かというと「自分に素直かどうか」という凄くシンプルな結論であり、全く難しくありません。
ではそのシンプルな結論がそれぞれの男女関係において、どう表現されているのかを見ていきましょう。
ベスが指輪を準備した理由
本作で上手く行った男女関係の1つがベスとニールであり、最初から最後まで安定した関係性でした。
7年も同棲し浮気もせずしっかりとキープしてきた2人ですが、結婚には踏み切れなかったのです。
そんなベスがラストで指輪を準備し受け取った理由を考察していきましょう。
思いを形にする
まずこの結婚指輪、そして結婚は「2人で居たい」という思いを形にしたに過ぎません。
ベスもニールもその思いは同じで、後はそれを合法的に形にするだけでした。
ニールが結婚しない主義を貫いていたせいで進展しないことが不満だったのです。
ベスとニールにとって、結婚はあくまで通過点であってゴールなどではありません。
そしてそのように思い至ったのにもまた理由がありました。
家族との再会で見た結婚の現実
ベスに変化が現われたのは終盤で描かれた妹の結婚式で見た結婚の現実です。
ここで彼女は急に倒れた父を介護した際に何も手伝わない親族に腹を立てました。
1人で父の介護から家事・仕事まで請け負ったことで改めてニールの大切さを知ったのではないでしょうか。
また、結婚しても温かい家庭を築ける保証はなく、ニールの主張が間違いではないと知ったのです。
だからこそ家事を手伝いに来てくれたニールの大切さと結婚の現実を実感できたのでしょう。
それまでどこか我が儘に思われたベスがここで大きな精神的成長を遂げました。
ニールの変化
そしてもう1つ大きかったのはニールの変化であり、これもまた結婚に大きな影響を与えました。
ニールが結婚しない主義を貫いていたのは同棲というライフスタイルが心地よかったからではないでしょうか。
結婚することによってその心地よいライフスタイルが崩れてしまうことを恐れていたのです。
そんな彼が結婚に思い至ったのは1度別れを告げられたことで自分の本心が分かったからでしょう。