出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B07K8Z5144/?tag=cinema-notes-22
人気小説を映画化した本作。木村拓哉さんと二宮和也さんがタッグを組むという事で浮かれちゃった女子も多いかもしれません。
ですがその中身は重厚で見応えある作品です。
浮かれるのではなく、(緊張感と恐さのあまり)浮き足立ってしまうような作品です。
そんな映画『検察側の罪人』は、誰もが正義について考えさせられる作品です。
正義とは
テレビのヒーロー物を楽しむ子供にとって、「正義」は理解しやすい簡単なものでした。
主役が正義、ヒーローと敵対する敵は悪。ヒーローは正義の為に悪をやっつける、シンプルです。
しかし、大人は年を取るにつれて、敵にも同情すべき過去があったり、かわいい家族がいるかもしれない事を知ります。
物事を多面的にとらえるようになります。果たして本当に敵は悪だったのでしょうか?
検察側の証人
アガサ・クリスティのミステリー小説に、『検察側の証人』という名作があります。
さだまさしさんの作品で、これをモチーフとした同名の歌もあります。
雫井脩介さんの小説『検察側の罪人』のタイトルも、クリスティの小説がもとになっているのでしょう。
雫井さんが、さださんの歌を御存知かはわかりませんが、クリスティの作品から、さださんと似たようなインスピレーションを得たのではないかと想像できます。
すなわち、「真実を暴くのは難しい、何が正しいかを判断するは難しい」というような事。
一つの物事は見る角度によって全く違ってくるのです。
正義は一つではない
最上の正義
前半の最上(もがみ)は、ヒーロー物の主人公のようです。「法律」という名の剣を武器に華麗に戦ってきたのでしょう。
ヒーローものではヒーローが正義です。悪者は懲らしめなくてはいけません。
こう書くと、彼の正義は間違ってなさそうな気がします。
沖野の正義
最初は最上に憧れ、共にヒーローへの道を歩もうと思っていたかもしれません。彼の右腕として活躍していました。
しかし、最上は罪を犯しました。罪を許す事は正義ではありません。袂を分かち対立します。
こう書くと、沖野の正義も間違ってなさそうな気がします。
正義いろいろ
つまり「正義は人によって異なる」ようです。正義は、時代によっても異なります。例えば殺人です。
現代の日本人で「殺人は正しい」と表立って言う人はいません。けれども戦争では勝つ事が必至とされます。