しかもこの時卑劣にも兄コニーだけがのうのうと逃げ切り生き延びてしまったのです。

勿論兄は濡れ衣を着せたつもりなんてないでしょうし、上手く行けば無事に逃げ切るつもりでした。

しかし、結果論とはいえニックだけがその代償を払う形で刑務所入りとなったのです。

事情や思惑がどうあれニックにしてみれば裏切られたと思ったのではないでしょうか。

即ちこの結末は、犯罪行為を通して生じた兄弟間の深い亀裂を意味します。

赤い粉の正体

兄弟2人の関係に亀裂が入ったと思しき最初のきっかけが序盤の銀行強盗のシーンです。

ここで彼らは大金を手にして逃げますが、金の入った鞄の中には真っ赤な粉が入っていました。

この赤い粉の正体は一体何だったのでしょうか?

赤の粉チョーク

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まず赤い粉の正体ですが、ピザ屋のトイレで落ちていたので赤色の粉チョークではないでしょうか。

赤い粉で水でも落すことが出来る即効性のものといえば粉チョークの可能性が考えられます。

他にも赤い粉というと香辛料などが考えられますが、香辛料は皮膚にダメージが行くのでないでしょう。

防犯用として仕込まれていたと思われ、犯罪者の顔色が目立つように赤色にしてあるのです。

いずれにしてもここでの目的はまず銀行強盗に対する予防と牽制であることが窺えます。

落ち合う予定の車がない

ここで大事なことは赤い粉の正体以上に、落ち合う予定の車が来ていなかったことです。

何とか車を見つけて乗り込むコニーとニックですが、ここでコニーの準備不足が窺えます。

車がなかったのはきちんとその車の運転手との報連相が取れていなかったということでしょう。

そしてまたお金が入っているかどうかの確認を車の中でしたこともミスでした。

黒い鞄を渡された時点で金額を確認しておけば赤い粉の罠にかかる前にどうにかなった筈です。

この時点で兄コニーの犯罪者としての詰めの甘さが出ています。

ネガティブシミュレーションの不足

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まずここで示されているのは兄コニーのネガティブシミュレーションの不足です。

そもそも知的障害者の弟ニックを連れ出して銀行強盗という時点でこれが出来ていません。

銀行強盗をバレないように行うことだけが先行していて、その先にまで考えが及ばないのです。

だから計画は失敗し、自身は逃げ延びても肝心の弟が刑務所入りという損害を被りました。

赤い粉の演出意図は何よりもそんな兄コニーの迂闊さを示すことにあったと思われます。

コニーがニックを施設から連れ出した目的

コニーは銀行強盗に失敗した後弟ニックを2度も施設から連れ出しています。

犯罪行為自体は弟が居なくても可能な筈なのに何故2度も連れ出したのでしょうか?

その目的をここでは考察していきます。

楽をさせたかった

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恐らく1番の目的は知的障害者である弟ニックに楽をさせたかったのではないでしょうか。

またその裏にコニー自身も貧乏生活から抜け出し楽になりたかったというのもありました。

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