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しかしその後、亜紀子の肉体は発見されています。
そのため、残っている寿命・肉体があることを考えると、死神が亜紀子を黄泉の国に送る必要がなくなります。
また正和についても、魔界松茸で幽体離脱したものの、亜紀子と同様に寿命・肉体の両方が残っているのです。
ここから考えると、黄泉の国の住人となるべき条件が揃っていなかったため、2人は現世へ帰ることができたのでしょう。
夫婦の絆が強い理由は？
映画『DESTINY 鎌倉ものがたり』では、独特の世界観だけでなく、正和と亜紀子の夫婦愛も色濃く描かれていました。
困難に遭遇しても互いを思いやり、愛し合う2人は、天頭鬼という凶悪な魔物からの脅しにも屈しないほどの、強い絆で結ばれているといえます。
実は、一色夫婦の絆が強いことには、様々な要因が絡んでいる考えられるのです。ここでは、正和・亜紀子の夫婦の絆が強い理由を考察していきます。
前世から紡がれ続ける約束
映画の終盤にて、正和と亜紀子は前世でも夫婦になっていたことが判明します。
また、亜紀子を狙う天頭鬼は「平安時代から何度も夫婦になる」と話していました。
つまり、2人の絆が強いのは、生まれ変わる前に必ず夫婦になる約束を交わしていたからではないかと考えられます。
この考察の1つ目の理由が、初対面での2人の反応です。
作中で正和は独身主義者でありながら、アシスタントだった亜紀子に対して懐かしさを感じ、結婚を決めています。
また、亜紀子も正和と出会い「この人と結婚するんだ」と確信するなど、初対面とは思えない感情を抱いていました。
2つ目の理由が、正和の家で保管されている物です。
正和の家の納戸には模型だけでなく、天頭鬼と思われる魔物と闘う男女を描いた掛け軸が保管されています。
実はこの掛け軸に描かれている男女こそ、正和と亜紀子の2人なのです。
実際に、掛け軸の男性を見た亜紀子が「一色先生みたい」とつぶやいています。
また終盤では、掛け軸の絵と同じ構図が何度も登場しており、前世とのリンクを強調していることがうかがえます。
また、正和が持っていた「牙の飾り」は、天頭鬼のものであることが、映画の終盤で判明しました。
これは前世の正和が、天頭鬼から前世の亜紀子を助ける際に折ったものであると考えられるでしょう。
これらの道具が家にあったのは、前世の2人が再会の約束を思い出すための目印にしていたからであると考えられます。
献身的な亜紀子の存在
作中における正和と亜紀子は、まさに「おしどり夫婦」とも呼べるほど、仲睦まじい様子が色濃く描かれています。
2人の絆がこれほどまでに強いのは、亜紀子の存在も理由の1つと考えられるでしょう。
明るくて子供っぽい亜紀子ですが、ミステリー作家である正和の良い妻であるように心がける努力家です。
また、夫の言葉に対して「おかしい」と思う点ははっきり言うなど、芯の通った性格であることがうかがえます。
また、正和の弱い所や彼が抱えている過去の暗い話も、自然に包み込めるほどの包容力も持っていました。
どこまでも正和と運命を共にしようとする、強い意志も持ち合わせています。
強さと優しさを持つ亜紀子だからこそ、家族とのわだかまりで悩む正和とも、深い絆で結ばれたといえるでしょう。
亜紀子に魔物や妖怪が見える理由は？
新婚旅行を終えた時の会話から、正和と結婚する前の亜紀子は、鎌倉とは別の地域に住んでいたことがわかります。
そのため、本来であれば魔物や妖怪とは無縁の生活を送っていたはずです。
しかし、鎌倉の家で暮らし始めた時点で、亜紀子は既に妖怪の姿が見えるようになっています。
では、外部の人間には本来見えるはずがない妖怪や魔物の姿が、何故亜紀子には見えているのでしょうか。
ここでは、亜紀子に妖怪や魔物が見える理由について考察していきます。
前世からの能力
亜紀子と魔物の関係性を考えるにあたって、重要な人物こそ、天頭鬼です。
天頭鬼は、前世の亜紀子に何度も結婚を迫るなど、亜紀子に対して強い好意を持っていました。
しかし結婚を迫る度に、前世の正和によって退治されています。
つまり前世の亜紀子にも、天頭鬼をはじめとした、魔物や妖怪の姿は見えていたと考察できるのです。
実際、納戸の掛け軸の描かれた男女はしっかりと鬼を見つめています。
そのため、別の地域で生まれ育った亜紀子に妖怪が見えるのは、前世から受け継いだ能力と考えられるのです。
