しかし、このような強大な国に蹂躙されてしまう平和があってもいいのでしょうか?
そこに疑問を感じたからこそ、スノーデンはシステムの根幹から破壊しようとしたのです。
てんかんの原因
物語の中盤でスノーデンはてんかん発作を何度か起こしています。
果たして原因は何だったのでしょうか?
ストレス
まず1番に挙げられるのはストレスであり、医者からも指摘されていました。
それまでてんかんの発作は出てなかったので恐らく特発性のてんかんでしょう。
このタイプのてんかんは大人になってかかる人が多いとされています。
ストレスは万病の元といわれますが、特にこうしたてんかんは要注意です。
スノーデンの場合国家機密を抱えていたので想像を絶するレベルのストレスだったのでしょう。
薬を飲まなかったこと
2度目にてんかん発作を起こした時スノーデンは薬を服用していませんでした。
何故そんなことをしたのかというと薬の副作用で脳の動きが鈍ることを恐れたからです。
それが原因でリンゼイとの仲が険悪になり、破局するかしないかの所まで行きます。
逆にいうと、薬を飲む余裕すらない程スノーデンは追い詰められていたのではないでしょうか。
彼の戦っているステージのレベルの高さが窺えます。
CIAに監視されている
そして3つ目に携帯やPCで行っていることが全てCIAに監視されていることが挙げられます。
スノーデンは大音量で音楽を流しながらリンゼイにそう打ち明けているのです。
これは即ち1分1秒たりとも心の安まる暇がなかったということではないでしょうか。
何をするにも全て国家の監視の目がついて回るのですから、プライベートも仕事もありません。
彼の中ではもうこの時仕事とリンゼイのどちらが大事かという葛藤を超越していました。
そこまで悩んでいたからこそてんかん発作に説得力が出たのではないでしょうか。
逃げ場のない国際社会
全体を通してスノーデンが明らかにしようとしたのは逃げ場のない国際社会の実態です。
グローバリズムというと美しい響きですが、実態はアメリカの正義を無批判に受け入れることになります。
四六時中監視されてどこにも逃げ場などない程に窮屈な社会で生きることを強いられているのです。
そんな社会を変えて行くには裏側のシステムから抜本的に改革する以外に方法はありません。
スノーデンは方法論こそ違法寸前だったとはいえ成し遂げようとしたことは偉大です。
だからこそ彼は犯罪者であると同時に英雄でもあるのではないでしょうか。
国家が守ってくれなくなる時代
いかがでしたでしょうか?
本作は単なるスノーデンの伝記映画に留まらず、1つの真実を告げているのではないでしょうか。
それは国家が個人を守ってくれなくなる時代がいずれやってくるということです。
かつて人々が正しいと信じて疑わなかった国家の正義はもう影も形もありません。
そのような時代にどう生きていけばいいのか考える重要性をスノーデンは問いかけています。