それが正義とは一体なにか、というテーマです。
行き過ぎた正義感が欲を生む
ランは、元々下記のようにいっていました。
昔の平和なアイヤータウンを取り戻す
引用:映画 クレヨンしんちゃん爆盛!カンフーボーイズ~拉麺大乱~/配給会社:東宝
彼女は、狂暴化の元凶であるブラックパンダラーメンを追い出そうとしていただけです。
しかし、正義への想いがあまりにも強かったせいで道を踏み外してしまったのでしょう。
正義の為に、勇者の秘薬を奪い取るという暴挙に出ています。
この時点で、彼女の口にする正義は悪へと変貌しつつあるのです。
正義とは時として、ただの自己中心的な思い込みなのかもしれません。
副作用として描かれた暴走
ランの過剰なまでの正義感は、勇者の秘薬の副作用として描かれています。
しかしこれは権力を持つものへの風刺とも捉えることが出来ます。
力を得たランは、自分が正しいと思うことを他者に強要していき、歯向かうものは力で抑え込んでいくのです。
オラたち、ランちゃんの正義をやっつけにきました
引用:映画 クレヨンしんちゃん爆盛!カンフーボーイズ~拉麺大乱~/配給会社:東宝
しんのすけのセリフは、完全懲悪を打ち消すセリフとなっています。
正義と悪は紙一重であり、完全な正義などは存在しないのかもしれません。
これが正義の力。
バカ言わないで、こんなのが正義?
やり過ぎだろ
引用:映画 クレヨンしんちゃん爆盛!カンフーボーイズ~拉麺大乱~/配給会社:東宝
正義はやり過ぎると、悪にもなってしまいます。
劇中では様々な行為を「悪」としてランが制裁を加えていきますが、観る者の善悪判断を試されているようなシーンでもあります。
隠されたメッセージ
本作には生き方に対しての大きなメッセージが隠されています。
自己否定をしないこと
マサオは自己否定によって、皆の元を去りました。
彼の間違いは他者と自分を比較したこと、兄弟子だから皆より出来ていなくてはならないと決めつけたことにあります。
柔軟な心で他者を認め、自分を認めれば自己否定は生まれてきません。
一歩先いく者でも、先にゴールしなければならないというルールはどこにもないのです。
自分のペースで成長することが大切なのではないでしょうか。
硬い心で正義を追ってはいけない
確かに人の世は汚くて理不尽でくせえもんだ、でもそれが人間なんだ
引用:映画 クレヨンしんちゃん爆盛!カンフーボーイズ~拉麺大乱~/配給会社:東宝
ひろしのセリフは、人間というものを的確に表現しています。
世の中には理不尽なこともあり、正義だけでは生きていけない時もあるでしょう。
しかし、それを柔軟な心で乗り越えていくことが大切なのです。
ひろしのセリフには日本人としてのグレーな生き方が反映されています。
完全懲悪ではなく、全てを受け入れて生きるという日本人の生き方が描かれているかのようです。
奥深い正義の映画
本作は、正義の本質を上手く描いていました。
そしてマサオとしんのすけを比較することで、劣等感を抱く側の心模様も表に出しています。
子供用のアニメですが、コアなファンがいるのも納得な内容だったのではないでしょうか。