そんなあずさがやさぐれずにやってこれたのは周囲に理解者が居たことでした。

思いを寄せる幼馴染の保に顧問のケニー先生などがあずさの悩みを否定せず受け入れたのです。

この人たちの支えがあったからこそあずさは孤立せず、腐らずにやってこられました。

1度は見栄から嘘をついてしまったダンス部の人たちもあずさの元に帰ってきたのです。

だから本来は抜けた所がありつつも真っ直ぐで優しい子であることが明らかとなります。

後半で見せるあずさの表情・ダンスは序盤のそれとは完全な別人だといえるでしょう。

保との恋の行方

恋の行方

あずさには思いを寄せる保という幼馴染が居て、彼女の理解者の1人でした。

そんなあずさと保の恋模様もまたあずさという主人公の人格形成には欠かせません。

ここではそんな彼女の恋模様を見ていきましょう。

成就したかどうかは不明

恋の成就は長期戦 (フレジェロマンス文庫)

実は保との恋が成就したかどうかは最後まで明らかになっていません

確かにあずさは自身の気持ちを率直に打ち明けましたが、保からの返事がないのです。

ラストは笑顔で返してくれましたが、好きかどうかの言葉はくれないままでした。

もしかしたら恋人と別れて成就したかもしれないし、していないかもしれません。

どちらにしても、良好な関係であることには間違いないでしょう。

恋よりも友情

恋か友情か (光文社文庫)

2つ目に本作において、あくまでもあずさと保の恋愛は副次的なものでしかありません。

メインテーマはあくまでもあずさとダンス部4人の友情・絆ではないでしょうか。

保も「本当の自分を出すべき」などどちらかといえば先輩後輩のように接していました。

あずさのことも「良き友人」という風に見ていたのかも知れません。

仮に結ばれるのだとしてもそれはまだ遠い先のことになるでしょう。

スタートライン

そう考えると2人の恋はあくまでもスタートラインに過ぎないのかも知れません。

あずさと保の恋模様は「気持ちを素直に伝えること」「本来の自分になること」がテーマでした。

だから、この恋はあずさが本当の自分を目指していくための長い旅路ではないでしょうか。

人は偽りの自分から本来の自分に戻るまでに長い時間がかかるといわれています。

だからあずさにとっても保にとっても恋はきっとゴールではないでしょう。

ダンス部のメンバーが抱える問題

ダンス部ノート

紆余曲折を経て絆を形成していくダンス部ですが、メンバーそれぞれに問題を抱えていました。

あずさの八方美人だけではなく、ジミーズの4人の抱える問題などもここでは掘り下げてましょう。

自分らしさを出せない

〈自分らしさ〉って何だろう?: 自分と向き合う心理学 (ちくまプリマー新書)

まず1つ目に自分らしさを出せないということがメンバー共通の問題としてありました。

愛海が肉体関係、葉月が売り子のバイト、環が勉強で美香が実は可愛いものが好きという点です。

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