特に美香は言動・行動・態度がぶっきらぼうなだけで根は凄く素直で優しい人でしょう。
それぞれに誰にもいえない悩みを抱え、素の自分を出すことが出来ないのです。
だからこそ初期は特に上辺だけの冴えない人たちに見えジミーズと名付けられました。
心の傷を抱えた仲間
ダンス部のメンバーだけではなく、顧問のケニーも事故でダンスの道を断たれた人でした。
それどころかマスコミや観客から時代遅れのステップなどという批判まで食らうのです。
このように彼らは全員同じ心の傷を抱えた仲間同士として集まるようになりました。
ややもすれば傷の舐め合いになってしまいがちな関係性ですが、ここからが違いました。
あずさは毅然とした態度で断るようになり、他メンバーも顔つきに迷いがなくなります。
自分の弱点を曝け出したことで何も失う物がなくなり、本音の関係で居られるようになったのです。
人の目が気になる
これらをまとめると結局はあずさの八方美人という性格的欠点と同じことに気付かされます。
分かりやすくいうと“人の目が気になる”という問題点が5人に共通しているのです。
美香はあずさの八方美人を厳しく指摘しましたが、可愛いもの好きを隠してた美香も五十歩百歩でしょう。
周りの目や偏見を気にして他人のご機嫌伺い…そんな日々だから彼女達は垢抜けなかったのです。
ダンスを通して人の目や偏見から解放されていくのが本作におけるダンス部の存在意義でしょう。
ダンスこそ究極の自己表現
こうして見ていくと本作が何故ダンスをモチーフに描いているのかも自ずと分かるでしょう。
何故ならばダンスこそが究極の自己表現であり、自分らしさを隠していると出来ないからです。
人前に出て堂々と振る舞い自分を踊りで表現するというのは自分を偽っている者には出来ません。
ケニー先生も仰っていたように、トップでありことより自由であることが大事なのです。
単なる成長や友情を描いただけではなく、ダンスの本質と合わせたところが本作最大の功績でしょう。
自分を取り戻した5人は間違いなく最高のダンスチームでした。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
本作は今時の女子高生のみならずどの世代の人々にも楽しんで頂ける作りとなっています。
女子高生のダンスという設定自体にさしたる目新しさはないでしょうし、作品共々地味かもしれません。
しかし、本作はダンスそのものではなくダンスを通した人間ドラマがよく出来ています。
イケてないダンス部の5人が後半どんどん自分を取り戻していき、ダンスが上手くなる様は痛快です。
またその成長を通してダンスの本質が自己表現にあり、心から楽しむことが大切だと教えてくれました。
後半に向けてめきめき垢抜けてイケてる女子高生になり輝いていく姿は1度見ると忘れられません。
トータルで非常によく出来た秀作でした。