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【ネイバーズ】はニコラス・ストーラー監督による、表向きには隣人間トラブルを題材にとったドタバタ喜劇です。
この作品は下ネタ満載です。かなり下品なシーンも数多く見られます。
しかしながらドタバタ喜劇を楽しみながらも冷静にストーラー監督の狙いに思い致せば、作品には多くのシリアな課題に対する問題提起も見て取れるのです。
隣人間トラブルや男の友情などに加えて、大人になるとはどういうことなのかといった深刻な問題意識がドタバタ喜劇の中に隠されています。
マックとテディ笑顔の再会
あれほど激しくやり合ったマックとテディですが、作品の最後では互いに笑顔で再会します。
そこには恨みや憎しみは全く見られません。長年の友人のように振る舞うのです。
この笑顔の再会に至るマックとテディの心理状態を詳しく見てみましょう。
マックの心理
マックはかつてテディのように若かった自分の青春時代の価値観と感覚でテディ達に接しようとします。
クールな大人として、しかも若者にも一定の理解ある存在になりたいのです。
その辺は実はテディ達に見透かされていることにマックは全く気づいていません。
お互いに報復合戦をしている時もマックはテディを恨んではいませんでした。だから再開時にも何のてらいもなく笑顔でいられるのです。
マックはテディ達のラインに降りていっている自分に満足しています。実はマックは逆に背伸びして無理をしているのですが、本人は気づいていません。
テディの心理
一方のテディですが、こっちは純粋に祭りを楽しんでいるだけで、今日が全てなのです。
今日の祭りをパーティという形で楽しめるのは今しかないとわかっています。
もちろん心の中では祭りには終わりがあることも薄々とは気づいているのです。
マックとの報復合戦の後、祭りの後始末をして、明日のことを考える大人への階段を一段上がることになります。
マックと再会したテディは内面的に、もはやかつてのテディではありませんでした。
マックの世代に一歩近づいていたのですから、笑顔でマックに向き合えるのは当然です。
報復合戦は何だったのか
この作品の最大の見せ場は、これでもかというほど繰り返されるマック陣営とテディ陣営の報復合戦です。
何でもありです。下品にかつ過激に、やられたらやり返す倍返し合戦が繰り広げられます。
でもこの報復合戦には陰険さは全く見られません。お互いに楽しんでいるようにすら見えるのです。