予告編などからオリジナルVSクローンと思わせておいて、ラストで見事に壮大なテーマへ繋げました。
ヘンリーとクレイは暗殺や戦争を当たり前に経験している親世代であり、ジュニアはそれを知らない子供世代。
その親世代の業・因縁を子供世代に押しつけるのではなく自分たちでしっかり責任を取らないといけません。
現代社会にも通ずるテーマの1つである「親世代と子世代」というテーマをしっかりラストで結実させました。
ジェミニ計画の目的
ヘンリーのクローンであるジュニアが生まれたきっかけはジェミニ計画という謎の計画が発端でした。
ジェミニとは英語で「双子」を意味する単語ですが、果たしてその目的はどこにあるのでしょうか?
戦争のゲーム化
結論からいえば、ジェミニ計画の真の目的は「戦争のゲーム化」にありました。
クレイは湾岸戦争でヘンリーの遺伝子からジュニアのみならずどんどん若手のクローンを生み出します。
そのクローンはジュニアから感覚や痛さを取り除いた完全な戦う生物兵器だったのです。
痛みを感じないクローンはアンドロイドやロボットも同然であるというのがクレイの主張でした。
だからクローンだらけにすれば戦争をゲーム化して苦しい想いをせずに済むという理屈です。
筋は通っていますが、その為に個人の命や尊厳を好き勝手弄ぶ行為であることに変わりはありません。
永遠の闘争
2つ目にゲーム化された戦争の世界を作ることで永遠の闘争を作り出そうとしたのではないでしょうか。
何故世に警察やスパイ、暗殺者、テロリストが必要なのかというと常に敵が居るからです。
いつ世に混乱をもたらそうか考えている悪人がいる限り戦争がなくなることはありません。
そういう世界を常態化しておけば、いざ何かあった時に臨戦態勢で戦うことが出来ます。
だからこそそういう世界が嫌だと抵抗したジュニアをクレイは失敗作だと嫌悪したのです。
人間の大量生産大量消費
3つ目にジェミニ計画の行き着くところは人間の大量生産大量消費ではないでしょうか。
クレイは戦う生物兵器を大量に生み出して、用済みになったらゴミのように捨ててしまいます。
これ現代社会が如何に大量生産大量消費というおかしな感覚で生きているかという皮肉でしょう。
しかし、人間は決して工場や実験室で簡単に生産できる安い生き物ではありません。
その当たり前の事実に気付かなかった時点でジェミニ計画は破綻していたのです。
クレイは正にヘンリー親子に負けるべくして負けました。
真実を知ったジュニアの葛藤
最初は本物VS偽物という形でヘンリーとクローンのジュニアは敵対しました。
ところが後半に入ってジュニアは自身がクローンという真実を遂に知ってしまいます。
果たしてそこで起こった彼の葛藤はいかばかりのものだったのでしょうか?
和解と共闘
まず真実を知ったジュニアは敵であった筈のヘンリーと和解しました。
感情面までは排除されていないので、説得自体は難しくなかったのです。
それに元の人格がヘンリーと同じである以上、考えることや感じることは基本一緒でした。
だからむやみやたらと人を殺すことに抵抗や不安も人1倍強く感じていたのです。