人間的な感情が少し残っているシュライクは、ヘスターからの愛情をしっかり受け取ったので、機能停止しました。

作中ヘスターは、シュライクの事を「命の恩人」として扱い、シュライクを批判する周りの人を説得しようとします。

また、シュライクが反移動主義同盟の話し合いに乱入した際、銃で撃たれるシュライクを体を張って守ろうとしました。

シュライクはこの時、ヘスターが自分に対する愛情を失くして逃げ出したわけではないと気付くのです。

確かに愛されていたことを知ったシュライクは、人間らしい感情を取り戻し、殺りくからの脱却を考えます。

その結果、機能停止という道を選ぶのでした。

『移動都市/モータル・エンジン』の世界観と反移動主義同盟の信条

映画ラストでは、ロンドンに乗り込んでいた市民たちを、シャングオの総督であるクワン総督が厳戒態勢の中待ち受けていました。

警戒するロンドン市民に対して、クワン総督は手を広げて中に入るよう指示します。

なぜ、ロンドン市民を受け入れたのでしょうか。これには、反移動主義同盟の信条が関わっていました。

好戦的ではない

ポスター/スチール写真 アクリルフォトスタンド入り A4 パターン7 移動都市/モータル・エンジン 光沢プリント

都市が都市を喰う、という世界観を体現していたのは、移動都市ロンドンです。

しかし本作で、他の都市に対して好戦的に仕掛けるのはロンドンくらいなもの。

むしろ、移動主義のロンドンに対して、反移動主義は好戦的ではありません。だからこそ、「反」移動主義でもあるのです。

また、都市が都市を喰うと言っても、映画冒頭のシーンで、ロンドンも喰われた都市の住民に対しては、全員受け入れていました。

つまり都市同士の争いや、兵士同士の争いはあっても、基本的に非武装の人間をむやみに殺すことはしない世界なのです。

アナ・ファンの過去

ポスター/スチール写真 アクリルフォトスタンド入り A4 パターン8 移動都市/モータル・エンジン 光沢プリント

反移動主義同盟の中心的メンバーであり、全体への多大な影響力を持つアナには、奴隷にされた過去がありました。

むかしアルハンゲリスクで奴隷にされて二度と人の所有物にならないと決めたんだ。仲間にも誓わせた。

引用:移動都市/モータル・エンジン/配給会社:ユニバーサル・ピクチャーズ

アナは奴隷とされる苦しみや辛さを知っています。奴隷となるくらいなら、自分は灰となって空を飛ぶことを願うアナ。

では、もしも他の都市の住民が流れ込んだ時、その人たちを奴隷としたり、殺したりするのかというと、おそらく答えは「いいえ」です。

そんなアナの信条は反移動主義同盟の信条でもありました。だからこそ、総督はロンドン市民を受け入れるのです。

クワン総督の思い

Mortal Engines (Predator Cities Book 1) (English Edition)

アナ・ファンの信条が根付き、好戦的でないシャングオの総督は、攻めてくるロンドン市民をどう思っていたのでしょうか。

罪なき人々を傷つけたくない。だがここの人々の命もかけがえのないもの。信じてほしい。他の方法があれば、それを選ぶ。

引用:移動都市/モータル・エンジン/配給会社:ユニバーサル・ピクチャーズ

これはロンドンとの戦争をしないよう働きかけるトムに対して、クワン総督が放った言葉。

結局シャングオを守るために、ロンドンを攻撃するよう命令した総督でしたが、できれば戦争は避けたいし、他の道を探っているのです。

ロンドンが停止し、それを操作していたヴァレンタインがいなくなった時、クワン総督は「他の方法」を選びます

それがロンドン市民との共存だったのです。

現代との違いと共通点

Infernal Devices (Mortal Engines Quartet)

科学技術が進む現代において、荒廃した『移動都市/モータル・エンジン』の世界は、あながち否定できない未来かもしれません。

文明の崩壊の後に作られた文明は、現代の世界と大きく違った価値観がありましたが、一方で人間愛や友愛は変わらずあり続けました。

現代と大きく違った世界でも、人間がそこに存在する限り共通するものもあるのです。

トムやヘスターが、この先どんな未来を作っていくのかは、そこで生きる人たちにしか決められません。