生き物を死に導くことに異様な興奮を覚え、その行為に依存していったのです。
幼少期の美沙子の家庭環境に足りなかったもの
美沙子の母親は、生まれてすぐに美沙子へ至上の愛を注いだのでしょうか。普通なら生まれてすぐに受ける
親の愛。
愛されるという経験が著しく欠乏していたようです。愛情に
飢えていることにも気がつかなかったのでしょう。
本来なら親から愛され親に依存する時期に、生き物の死に依存する形となり美沙子の心が
歪んでしまったのです。
美沙子が生を受けて最初に感じた「ユリゴコロ」は、親の愛ではなかったのです。
ぜみつ子は美沙の準備した食事を食べた
みつ子は高校時代のトラウマから男性不信になり、
摂食障害とともに
自傷行為を繰り返す精神障害でした。
摂食障害に苦しむみつ子も美沙子の作った食事だけは、なぜか口にすることができたのです。
互いに満たされ心の居場所を見つけた
みつ子は、自分の
生きる価値が見いだせてなかったようです。
自分の手首から流れる血を感じることだけがて生きている実感でした。
美沙子はみつ子が自分と同じように「ユリゴコロ」が見つけられずに
さまよっているように見えたと思われます。
みつ子の自傷行為を自分の殺人行為への依存と同じと感じた美沙子。
みつ子は、美沙子に自分の
すべてを話せたことで、ようやく
心が落ち着ける安心感を手に入れました。
2人は心の居場所をお互いの中に見つけることができました。
みつ子の摂食障害は
不安におびえる毎日のストレスが原因だったのです。
美沙子の料理が食べられたのも、美沙子への
安心感からでしょう。みつ子の人生には安心という言葉が必要だったのです。
同性愛なのか共依存か
美沙子に手首を切られるみつ子は
恍惚の表情をしていました。手首を切られる行為は、まるで恋人に愛撫されているようです。
男性不信のみつ子の気持ちには
美沙子に対する愛があったかもしれません。
美沙子もみつ子に「ユリゴコロ」を感じていたので、みつ子なしに人生が考えられなくなっていたのです。
少し状況は異なりますが2人は共依存の関係にあったと思われます。
ただ、互いを支えるものがあまりにも
もろかったのです。
最後に美沙子はみつ子を失血死させますが、それまでの殺人とは多少異なり、死を迎えるみつ子には
安どの表情が見えました。
美沙子の殺人依存症を愛で救った洋介
美沙子は、過去の凄惨な記憶がトラウマになり、生きがいを見失っていた洋介と運命的な出会いをします。
そこで
愛という「ユリゴコロ」があることに気がつき、自分以外の人のためにできることを考えるようになりました。
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