そこには同じ華僑としての想いが秘められていたのかもしれません。
ジャソンに秘められた悪が彼を会長にした
決意をした後のジャソンは、誰よりも冷酷で自分にとって害となる者を次々と殺害してます。
ジュングやカン課長たちを殺したのは、大切な友人を殺された恨みもあったでしょう。
しかし、ラストシーンで流れていたのは、暴力的な行為にやり遂げた感に浸り笑みも浮かべていたジャソンの姿です。
この笑顔はジャソンの中に潜む悪の素質ではないでしょうか。
犯罪組織という中に身を置き続けたジャソンですが、彼は元々悪の顔を持っていたのかもしれません。
だからこそ幹部にまで上り詰め、ついには全てを排除することが出来たのでしょう。
彼が手にした「新しい世界」では、誰からも虐げられることなく自分らしく生きることが出来るのかもしれません。
カン課長は悪だったのか
チェ・ミンシク演じるカン課長は、大きな存在感を持って登場しています。
結果重視の警察の黒い部分をさらけ出すようなキャラクターですが、彼とジャソンを比較するとなかなか面白い面が見えてきます。
善と悪に挟まれた男
カン課長は、下記のセリフでジャソンの妻を脅すなど極悪ともとれる方法で新世界プロジェクトを進めます。
お前が監視の為に送り込まれたと知ったら、ジャソンのやつさぞかし喜ぶだろうな
引用:新しき世界/配給会社: ネクスト・エンターテインメント・ワールド
また彼の目的は犯罪組織の根絶やしではなく、警察との協力関係です。
その為にジャソンを利用し邪魔な存在を死へと導いており、やっていることだけを見ると彼は極悪の警察官ではないでしょうか。
しかし、劇中には自分の行いに心を痛めているシーンも数々登場しています。
観方を変えれば仕事に対して冷酷な男であり、仕事のできる男ともいえます。
警察の仕事とはどこまでが許されるのか…、善悪を問われる内容ではないでしょうか。
仕事に犠牲はつきものとはいえ彼は辞表を出す決意までしており、善と悪の中で揺ていた存在といえるのです。
道は揺るぎないものだった
ジャソンと異なる点は華僑ではなかったこと、そして警察官として揺るぎないものを持っていたことです。
チョン・チョンからの賄賂を受け取らなかったのも、彼が正義の心を持っていたことを示しています。
警察官として、どんな手を使っても犯罪組織を潰すという信念を感じる人物ではないでしょうか。
三人の心に注目して観る映画
『新しき世界』は韓国映画独特の残虐ともとれる犯罪シーンが目立ちます。
しかし、ジャソンやチョン・チョン、そしてカン課長の苦悩や決意に注目して観ると更に面白くなる映画ではないでしょうか。
それぞれの想いの上にジャソンの会長就任があるのです。
お気楽な性格のチョン・チョンの残虐さや男気は意外性を持ってファンから強く支持されているようです。