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映画『マイ・サンシャイン』は1992年に起こったロサンゼルス暴動を題材にした作品です。
監督は『裸足の季節』で有名なデニズ・ガムゼ・エルギュヴェン、主演をハル・ベリーが務めています。
更に脇にはダニエル・クレイグという大物俳優まで据えられ、非常に安定感のある作品となりました。
件の暴動をきっかけに黒人差別や家族愛などアメリカ社会に残る様々な問題へ真正面から格闘しています。
本稿では白人男性のオビーが助けてくれる理由をネタバレ込みで考察していきましょう。
また、ウィリアムの命を奪った人の正体やジェシーが流す涙の意味も併せて読み解きます。
ロサンゼルス暴動
現代米国史の中で暴動やテロというとどうしても2001年の同時多発テロ事件(9.11)が連想されます。
ロサンゼルス暴動は今振り返るとその9.11の前兆なるものを感じさせる大きな事件でありました。
黒人男性ロドニー・キングの逮捕に端を発する暴動の連鎖は新たなる社会の脅威を感じさせます。
奇しくも2017年本事件を題材とした映画が2作あり、その1つが本作に当たるわけです。
比較すると、『LA 92』が事件の全体像を捉えているのに対し、本作はミクロな家族の問題に落とし込んでいます。
評価や完成度の高さでは『LA 92』に後塵を拝したものの、本作には本作ならではの解釈があるのです。
本作が果たしてどのようなメッセージを伝えてくれるのかを本題に沿って考察していきましょう。
オビーが助けてくれる理由
本作に登場するダニエル・クレイグ演じるオビーは粗野な男で白人男性のイメージにそぐわない男でした。
しかしそんな彼が黒人女性のミリーをはじめ一家を何故か最後まで人種の壁を超えて助けてくれるのです。
何か見返りがあるわけでもないのにオビーがここまでする理由を考察していきましょう。
ミリーを異性として見ている
まず1つ目にオビーはミリーを異性として意識して動いていました節があるからです。
言動・行動こそ問題はあるものの、常にミリーのトラブルの渦中に居合わせています。
これが単なる善意だけならばわざわざここまで助けようとはしないでしょう。
言葉にこそ出さないものの、ミリーを見るオビーの目はどこか優しく温かいものです。
手錠を壊したときも彼は彼女に寄り添う姿勢を崩しませんでした。
子供たちが好きである
2つ目にオビーとミリーは子供たちが好きであるという共通項がありました。
決定打となったのはミリーがオビーの家で一緒に遊んでいる子供達を見たときです。
この時のオビーは子供たちに明るいアニメを見せようとし、一緒になって遊んでいます。
第1印象があまり良くなかっただけに、そのギャップにやられたのではないでしょうか。
いい人がいいことをするよりも偽悪的な人がいいことをした方が落差で格好良く見えるのです。
その後ミリーがオビーと肉体関係に落ちる夢を見るシーンがそれを裏付けています。
警察に犯罪者扱いされる
そして3つ目に2人とも警察に犯罪者扱いを受けたからではないでしょうか。