広大な国土を有するアメリカにとって飛行機での移動は日常的なことですから、機長といえど特別な存在ではないのでしょう。
日本における旅客機機長のイメージとは違います。
しかし安定した収入は得られますし、慎ましく暮らせばパートに出る必要もありません。
当時の彼女の望みは「普通に暮らす」ことです。
弟のJBを見ても彼女の実家は裕福そうではありませんからあの頃のような暮らしだけは嫌なのでしょう。
暮らしぶりの変化と妻の変貌
麻薬の運び屋だったことがバレて逃げることになったバリー一家。
逃がしたのはCIAですからバリーにはまだ利用価値があったのでしょう。
これを機にバリーは事業をどんどん拡大していきます。
初めの頃は怯えていたルーシーでしたが、どんどんセレブ妻に変わっていきました。
娘のために野球場まで作ったのですからすごいですね。普段着はもちろん身につけるもの全てがゴージャスです。
この頃の彼女に夫の仕事に対する怯えはありません。
お金の力は凄いですね。彼女もまたバリーとは違う意味で夢を叶えていきました。
犯罪行為ではありますが二人にとってはAMERICAN DREAMです。
バリーを利用した組織
本作の副題は「アメリカをはめた男」ですが、バリーは本当にアメリカという国家をはめたのでしょうか。
結局のところ彼はいつも「選択した」ようで「ほかに手段が無かった」のです。
はめたようではめられ命を落としたバリー・シール。
彼を利用し陥れたのは誰でしょうか。
CIA
中央情報局(Central Intelligence Agency)は、外国での諜報を行うアメリカ合衆国の情報機関。
中央情報局長官によって統括され、アメリカ合衆国大統領直属の監督下にある。
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/中央情報局
CIAの職員を名乗るモンティ・シェイファーによってバリーの生活は一変します。
彼は成り行きとはいえパブロ・エスコバルと関係を持ったバリーを黙認していますし、拘留時には助けにも行きました。
それは一重にバリーの利用価値によるものです。モンティは自分の仕事のことしか考えていません。
それはバリーを誘った当初から一貫していました。本名を教えなかったのもそれが理由でしょう。
CIAにとって重要なことは情報収集で、それに伴う危険や犠牲は「自分たち以外が担当する」ことという認識です。
彼らは机上の理論を実践する以外に興味はありません。バリーはどんどん深く利用されていきます。
麻薬カルテル
断れば殺すという彼らの手段にバリーは成すすべなく落とされましたが、どんどん自分から嵌っていったような印象です。
彼らは巨万の報酬を与えましたが、その要求レベルもどんどん大きくなっていきました。
バリーの性格を把握していたのでしょうか。バリーは次々に難問をクリアしていきます。
彼らが追っていたのはお金です。麻薬によってアメリカ国民がどうなろうと関係ないのです。
運搬に失敗しても命を落とす運び屋の仕事をバリーはどこか楽しんでいるように見えました。
JBの車が爆発した事件の意味
妻の弟であるJBがバリー一家に加わった日から運命が暗転していきました。
JBはバリーには正直ですが、素行も言葉遣いも悪く描かれています。