トラウマはないといっても、マイクは海の危険性を父親から学んでいます。
本作において、直接的にシャチやイルカなど、生物に直接触れるのは彼女のキャスリン。一方マイクは、施設管理が業務です。
つまり海は好きだし、海に関する仕事を行ってはいますが、危険な可能性である生物担当をマイクは避けました。
これは、父親の経験を目の前で見て、自身も経験してきたからです。
海に憧れているが、危険を冒すことはしない。これはまさに、父親から譲り受けたものでした。
人工飼育という初の試み
人工飼育をしようとした子ザメは、結果的にプールの中でひっくり返り、死んでしまいました。
なぜ人工飼育は失敗に終わったのでしょう。これは、やはりこの人工飼育が「誰もやったことのないこと」だからでした。
麻酔の量は適正だったのか?
子ザメを安全に確保するため、人間たちは動き出します。捕獲をして、その後どうするかというと、人工飼育にするのです。
そのために、サメを大人しくさせる必要があったので、麻酔銃を打ち込むことになりました。
しかしその麻酔の量は、あくまで「推定量」。これは、サメに対して初めて麻酔を使用するから、その容量が分からないためです。
よく考えると、体長が本来のホオジロザメよりも器官などが発達しきっていない「子ども」であったため、麻酔の量が多い可能性もあります。
人工飼育する以前に、麻酔の量に疑念がかけられるのです。
麻酔から覚めたばかり
体にどれくらいの麻酔効き、体の中に残っているか調査もできないまま、サメはプールへと移動させられました。
結局プールの中で突然動き出しますが、これが本調子とは言えないでしょう。
さらにホースから海水を出して、口の中に突っこみ、酸素を供給することもしなければなりません。
急に麻酔から覚めたサメに対して、きちんと酸素が供給されるのを待たずして、人はプールから逃げ出しました。
麻酔も体に残っている可能性があり、酸素の供給もまともではない中で、館長のカルヴィンは子ザメを見せ物にします。
麻酔や酸素供給の不足、さらにはカルヴィンの独断が相まって、人工飼育は失敗するのでした。
ストレス過多
人工飼育を施すといっても、相手は自然界で生まれたサメです。当然捕獲されたその時点で、大いにストレスを感じているでしょう。
さらにまともに体力が回復する前に、酸素供給のホースを外され、人の目にさらされます。
サメはマグロなどと同じように、泳ぐのを停止してしまうと、呼吸が出来ずに死んでしまう魚です。
狭いプール内で、ろくに酸素も与えられず、ストレスフルな環境であれば当然死ぬことは目に見えていました。
初めての人工飼育だったからこそ、このような事態にも対応できないのは、無理もないことだったのです。
カルヴィンの指示
何よりも、人工飼育に挑戦しようとしたサメを死に至らしめたのは、館長であるカルヴィンの指示でしょう。