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映画『テラフォーマーズ』は貴家悠・橘賢一による原作漫画を2016年に実写化したSF作品です。
監督は三池崇史、主演を伊藤英明と武井咲の2人が務めており、脇を山下智久らが固めています。
原作のバグズ2号編をベースに作られており、火星へ移住しようとした人間と昆虫の戦いがメインです。
敵たる昆虫のビジュアルは評価が分かれますが、アクション・ストーリー・キャラと総合の完成度は高いでしょう。
本稿では小吉の火星へ戻る決意をネタバレ込みでじっくり考察していきます。
また、テラフォーマーが人間に敵意を向ける理由や最強の昆虫は何かも併せて読み解きましょう。
人間の身勝手さ
本作が全体を通して表現しているテーマは「人間の身勝手さ」ではないでしょうか。
表面上は人類と昆虫「テラフォーマー」の生存競争という体裁を取っています。
しかし、実はこれら全て人類側の身から出た錆であり、余計なことをしてしまったせいです。
話は人口増加に悩んだ人類が火星移住化計画を立て、火星に苔とある昆虫を持ち込むというもの。
その昆虫が予想外の形態に進化してしまったばかりに人類が痛い目を見るという展開になっています。
SFチックな展開でありながら、やっていることは自分達がやらかしたことの尻拭いなのです。
では、その尻拭いを通して何を伝えようとしているのかを本題に沿って考察していきましょう。
小吉の火星へ戻る決意
テラフォーマーズ退治に駆り出された15人の内、生き残ったのは小吉と蛭間だけでした。
2人の内小吉は火星へ戻る決意をするのですが、果たして何の意味があるのでしょうか?
仲間の弔い
まず1つ目に、死んでしまった13人もの仲間の弔いではないでしょうか。
特に菜々緖と武藤に対して小吉は限りなく熱い友情・絆を持って接していました。
終盤における小吉・菜々緒・武藤の3人のやり取りが見逃せません。
死んだ彼らの分まで生きなければならないという責任もあるでしょう。
小吉は主人公らしくとても真面目な性格ですから義理や筋をしっかり通す男です。
ここで挫折してしまえば、死んだ仲間たちに申し訳ないという気持ちが窺えます。
終わりなき昆虫との戦い
2つ目に、終わりなき昆虫との戦いに向けての覚悟ではないでしょうか。
ラストで映された火星は真っ黒になっており、これはテラフォーマーが滅びていない証です。
状況は何とも絶望的で、もしかしたら小吉は次火星に行った時に死ぬかも知れません。
しかし、そうだと分かっていても人類が撒いた種なので、自分たちで責任を取る必要があります。
小吉は誰にも称賛されることのない孤独な戦いを1人で行うつもりなのです。
火星移住計画の実現
そして何よりも、人類の夢であった火星移住計画を実現しなければなりません。
人類の身勝手さから始まったとはいえ、1度計画したことを諦めることなど出来ないのです。
それを断念してしまったら、仲間たちのみならず人類の敗北を意味します。