レジスタンスとして人を襲う立場になるかどうかはまだ分かりません。
しかし、彼は感染者になった時点で普通の人生を歩むレールからは外れたのです。
ひとたび脱線をしてしまうと、そこから戻ることは容易ならぬことでしょう。
仮に完治したとしても、厭世的な少数派の運命として生きていくことが窺えます。
コナーが集会を立ち上げた真意
本作で事態が大きく発展したのはコナーが集会を立ち上げたことがきっかけでした。
彼が集会を立ち上げた真意とは果たして何なのでしょうか?
物語の流れや登場人物との関係から読み解きます。
差別・迫害への反抗
1番にあったのは回復者を差別・迫害してくる世間の目に対する反抗でした。
これ自体は何も特別なものではなく、テロリストにありがちな思想です。
問題なのはそれを組織・実行しようとするコナーの行動力にありました。
収容所に居たときから、セナンはコナーの危険思想がどれ程のものかを知っていたのです。
それが物語に大きな波乱をもたらすことになったと推測されます。
セナン勧誘に見る賢さ
2つ目に、コナーは危険思想の持ち主ですが判断力自体はとても賢いのです。
一緒にいたセナンを2番手の立ち位置として勧誘しようとしていました。
この辺り、組織を結成するにも誰が適任かをコナーはきちんと見極めています。
同じ回復者で同僚だったセナンであればやっていけると彼は見込んでいたのです。
ただし、ここでの誤算は彼がセナンの心の中まで見抜けなかったことでした。
これが後にとんでもない悲劇を生み出してしまいます。
裏切りと対立
コナーのそんな危険思想をセナンは実に的確に看破していました。
結果として、セナンはコナーを軍に引き渡そうとした罪で戦うことになります。
この辺りセナンが安易な「いい人」として描かれていないのが実にリアルです。
コナーは恐らく謀反を起こそうとして失敗してしまった人の例でしょう。
同じ回復者でありながら人類側に味方したセナンと人類を見限ったコナー。
余りにも対照的な2人の生き方が本作の「差別」と綺麗に繋がっています。
子を救うセナンの決意
前述したように、キリアンを救うことを決めたのはセナンでした。
義姉であるアビーを説得してまで彼がそうした決意を掘り下げていきましょう。
贖罪
まず感染者だったセナンの中にあったのは「贖罪」ではないでしょうか。
彼はかつて感染者としてルークを襲い殺したという過去のトラウマがあります。
そのせいでアビーからも差別されることになってしまいました。